2025.07.09

インターネットリサーチ

市場調査(マーケティングリサーチ)を成功に導くには?
適切な手法や成功するためのコツをわかりやすく解説

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市場調査(マーケティングリサーチ)は企業の意思決定を支える重要な情報収集活動です。急速に変化する消費者ニーズや複雑化する市場環境において、的確に調査手法の選択、設計と実施を行わなければ、誤った方向に意思決定を導きかねません。市場調査は競合商材と差別化し、自社商材をニーズのある消費者に届けるための重要な基礎情報となります。
本記事では市場調査の基本概念やメリット、具体的な手法、成功させるポイントなどを詳しく解説します。業界を問わず、より深い消費者理解を目指す企業担当者の方々にとって、市場調査の価値を最大化するための参考としてください。

市場調査(マーケティングリサーチ)とは

市場調査とは、企業が意思決定をする上で重要な情報収集活動です。市場の規模や成長性、競合状況、消費者ニーズ・インサイトなどを体系的に把握することで、効果的な商品開発やマーケティング施策の立案に役立てます。具体的には定量的・定性的なデータを収集・分析し、客観的なデータに基づいた意思決定を可能にします。さらに精度の高い市場調査は競合との差別化や効率的な戦略実行を可能にします。
市場調査は大まかに以下の2つの調査方法に分けられます。

  • 定量調査
  • 定性調査

上記で紹介したインサイトについて詳しくは「深い顧客理解のための消費者インサイトとは」をご覧ください。

市場調査の調査方法 特徴 メリット デメリット
定量調査 数値データを収集し統計的に分析する手法 ・客観的なデータ取得
・傾向や相関関係の把握に有効
・想定していない深堀は困難
・回答の「なぜ?」や背景がみえにくい
定性調査 少数の対象から深い洞察を得る手法 ・予想外の発見につながる
・深堀質問で消費者心理を理解しやすい
・比較的時間やコストがかかる
・全体傾向は掴みづらい

定量調査

定量調査は、数値データを収集・分析し、市場の全体像や傾向を統計的に把握する手法です。主にアンケート調査(インターネットリサーチなど)が含まれます。
定量調査の最大の強みは、結果を数値で可視化できるため、客観的な判断材料として経営層への報告や社内共有がしやすい点です。例えば、インターネットリサーチではアンケートを通して短期間で数万人規模のデータを収集でき、性別や年齢、地域などの属性別に消費者の購買意向や満足度を分析できます。ただし、設問文や選択肢の表現により結果が左右されるため、アンケート調査票作りは慎重に行う必要があります。
定量調査について詳しくは「【2025年最新】定量調査とは?定性調査との違いや効果的な使い分けなどをわかりやすく解説!」をご覧ください。

定性調査

定性調査は、対象者の声から消費者行動の背景にある「なぜ」を探る手法です。個別インタビューやグループディスカッションなどを通じて、感情や価値観、潜在ニーズを把握します。消費者が自分でも気づいていない無意識の行動や、アンケートでは表面化しない本音を引き出せる点が最大の特徴です。
商品開発初期段階での顧客理解、コンセプト開発、商品の操作性の検証、購入プロセスの分析、コミュニケーション開発に有効で、定量調査と組み合わせることで、より立体的な市場理解が可能になります。

市場調査とマーケティングリサーチの違い

マーケティングリサーチと市場調査は、ほぼ同じ意味合いで使われます。市場や顧客のデータを分析し、マーケティング戦略の策定・実行に活用する活動です。

市場調査を行うメリット

市場調査を実施することで企業は主に以下のメリットを享受できます。

  • 意思決定の質の向上
  • 顧客ニーズの正確な把握
  • 競合にはない独自の価値の確保

意思決定の質の向上

先述したように市場調査は、感覚や憶測ではなく、客観的なデータに基づいた意思決定を可能にします。特に重要な経営判断や大きな投資を伴う意思決定においては、確かな根拠が不可欠です。
例えば新商品の価格設定を行う場合、市場調査を実施し消費者の価格感度を把握することで、最適な価格帯を設定できます。また、施策の優先順位決定や、マーケティング予算の最適配分など、限られたリソースを効果的に活用するための判断材料としても役立ちます。
このように市場調査によって意思決定の質を高めることができます。

顧客ニーズの正確な把握

顧客ニーズの把握に市場調査が役立ちます。定量調査でニーズの規模や傾向を数値化し、定性調査でその背景にある理由や感情、潜在的な欲求を深く掘り下げます。両者を組み合わせることで、表面的な傾向だけでなく、顧客が抱える具体的な課題や、ニーズの背景にある要因をより深く理解できます。例えば、インタビューから、消費者が無意識に行っている「不便を我慢している行動」を発見し、新たな価値提案につなげることが可能です。こうした深い顧客理解は、既存商品のユーザビリティ改善や、サービス体験の向上にも不可欠です。顧客が求める商品・サービス開発や、既存製品の改善、効果的なターゲティングとコミュニケーション戦略の基盤となります。

競合にはない独自の価値の確保

市場調査によって競合他社の商品・サービス、価格、プロモーション活動などを体系的に把握することで、自社の差別化ポイントを明確化できます。消費者が各社の商品をどのように評価し、どの要素で選択しているかを理解することは、独自のポジショニングを確立する上で重要です。
また、競合分析から業界の未対応ニーズや市場の空白領域(ブルーオーシャン)を発見し、先行者利益を獲得する機会も生まれます。さらに、競合他社の強みと弱みを把握することで、効果的な対抗戦略を立てることができます。

市場調査の主な手法

では市場調査はどのように実施するのでしょうか。市場調査には多様な手法があり、調査目的や対象者、予算、調査期間に応じて最適な手法を選択または組み合わせることが重要です。代表的な手法を2つ紹介します。
・アンケート調査(定量)
・インタビュー調査(定性)

調査方法 特徴 メリット デメリット
アンケート調査(定量) 質問票を用いて多数の対象者から回答を得る手法。近年はインターネットリサーチが主流。 ・統計的分析が容易
・インターネットリサーチは短期間で大量データ収集可能で地理的制約が少ない
・回答の質や正確性に課題
・質問設計が結果に大きく影響
インタビュー調査(定性) 対面や電話などで個別に詳細な聞き取りを行う手法 深い洞察の獲得 ・時間がかかる
・インタビュアーの技術に依存
・サンプル数の制約

アンケート調査(定量)

アンケート調査は、質問票を用いて多数の回答者からデータを収集する手法です。インターネットリサーチ、郵送調査や店頭・イベント会場での配布、訪問留置などさまざまな形態があります。具体的な課題は、回答者へのアプローチ方法、回答謝礼、回答率の低さや回答バイアスへの対処です。
アンケート調査にはさまざまな調査手段がありますが、中でもインターネットリサーチはその利便性から近年主流の調査手法になっています。
具体的にはオンライン上で対象者にアンケートを配信し、回答を収集・分析する手法です。リサーチ会社が保有する大規模パネル(登録モニター)を活用することで、短期間で多数のサンプルを収集できます。地理的制約を受けず全国規模の調査が可能で、性別や年齢、職業など細かな属性条件で対象者を絞り込むことができます。スマートフォンの普及により回答者の利便性が上がり、画像や動画の提示も容易なことから、現代の定量調査でよく利用されています。
ネットリサーチについて詳しくは「ネットリサーチの実践的アプローチ|実施の流れをわかりやすく解説」をご覧ください。
また、楽天インサイトが行うインターネットリサーチについて詳しくはこちらをご覧ください。

インタビュー調査(定性)

インタビュー調査は、調査員が対象者と直接対話し、「なぜ」を深掘る対話を通じて、顧客の具体的な考えや背景にある理由を探ります。個別インタビューやグループインタビュー(座談会・フォーカスグループ)があります。事前に対話設計を行い、顧客のリアルな声を拾い、背景にあるニーズを探ります。会話の深堀で予想外の発見が得られる可能性を秘めています。特に消費者の潜在的なニーズや商品選択の背景にある価値観、使用場面での詳細な行動などを把握するのに適しています。商品開発初期段階での顧客理解、コンセプト開発、商品の操作性の検証、購入プロセスの分析、コミュニケーション開発で役立ちます。
なお楽天インサイトでは、定量調査はもちろんのこと、定性調査もインターネットを活用したものが中心になってきております。

市場調査を成功させるポイント

市場調査から期待する成果を得るためには、いくつかの重要なポイントがあります。そこで市場調査を成功に導くためのポイントを3つ紹介します。

目的やゴールを明確化する

市場調査の成功には、「何のために」「どのような意思決定に活用するのか」という目的の明確化が不可欠です。調査の必要性は感じていても、論点が多岐にわたり最終的にどのようなビジネス課題の解決に繋げたいかが曖昧なままでは、期待する成果を得ることは困難です。例えば、単に「顧客のニーズを知りたい」と漠然と考えるのではなく、「既存顧客のサービスに対する具体的な不満点を特定し、解約率低下のためのサービス改善案を検討するため」といったような具体的なビジネス課題の解決に繋がるよう、焦点を絞った明確な目的を設定することが重要です。

適切な調査設計を行う

調査目的達成のため、最適な手法(定量/定性、オンライン等)と質問内容・手順を計画する必要があります。こちらは知りたい情報を効率的かつ正確に得るための「設計図」作成プロセスです。目的と手段が一致しているかが重要です。この調査設計に基づき、誰に調査を行うかを決める「適切なサンプル設計」は、調査結果の信頼性を担保する上で重要な要素となります。

適切なサンプル設計を行う

調査対象となる母集団を正確に代表する回答者を確保するため、誰に、何人、どのような基準で選定するかを計画することです。これにより、調査結果の信頼性と汎用性を高めることができます。特に、ターゲットとする層の属性や出現率が低い場合などは、専門的な知見に基づいたサンプル設計が必要になります。

質の良いパネルを保有する調査会社に依頼する

特に、このサンプル設計において、回答者の質(属性精度、回答姿勢)はデータの質を左右する要素になります。なお日本におけるネットリサーチの回答者パネルは、大きく分けて「自社構築型」と「アグリゲート型」に分類されます。
自社構築型パネル:調査会社が自社でモニターを募集・管理・運用しているパネルです。モニターの質や属性情報の精度を管理しやすく、安定した回答品質を確保しやすいという特徴があります。
アグリゲート型パネル:複数のポイントサイトアンケートモニターを連携させて回答を収集するパネルです。幅広い層にリーチしやすい一方で、パネル全体の品質管理や属性情報の精度にばらつきが生じる可能性があります。

楽天インサイトは自社構築型

楽天インサイトは、約220万人(2022年9月時点・12ヶ月以内に楽天インサイトでログインあり(不正者・重複者を除く)という業界最大級の自社構築型リサーチ専門パネルを自社で構築・運用しています。これにより、モニターの募集から管理、調査配信まで一貫した品質管理が可能となり、高いアクティブ率を誇る良質なパネル品質を実現しています。

まとめ

市場調査は企業の意思決定を支える重要な情報収集活動です。定量調査と定性調査の2つの手法があり、定量調査は数値データで市場全体の傾向を把握し、定性調査は消費者の深層心理や潜在ニーズを探ります。成功のポイントは目的の明確化、適切な調査設計とサンプル設計です。調査データは顧客ニーズの正確な把握と競合優位に役立ちます。ぜひ製品開発やマーケティング施策立案の際に市場調査をご活用ください。

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