2025.07.09

アスキングビッグデータ

深い顧客理解のための消費者インサイトとは

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現代ビジネスにおいて、顧客の心に響く商品やサービスを生み出すには、表面的なニーズだけでなく、その奥に潜む隠れた心理、すなわち「インサイト」の理解が不可欠です。インサイトを見抜くことで、競合と差別化し、顧客に「そうそう、これが欲しかったんだ」と感じさせる新しいアプローチが可能になります。本コラムでは、この重要な消費者インサイトについて、その定義から発見方法、そして実際の活用事例までを掘り下げてご紹介します。

マーケティング分野におけるインサイトとは

「インサイト」は直訳すると「深い洞察」「本質的な理解」という意味ですが、マーケティングの分野では消費者の行動や感情の奥底にある、購買意欲を左右する隠れた心理(消費者インサイト)を指すことが多いです。
消費者インサイトに関しては、多くの人が様々な説明をしていますが、楽天インサイト元顧問の三木は『気がつかされればニーズに変わるもの』と説明しています。
『インサイトは、ターゲットとなる生活者と新製品・サービスのコンセプトやアイデア、またコミュニケーションのアイデアを結びつける「カギ」である。力強いインサイトには「葛藤」(「〇〇したい、でもできない・むずかしい」)がある。しかし、インサイトを発見し、ターゲットの生活者が「そうそう・あるある・なるほど」と思う製品・サービスが提供できたら、生活者にとって目新しく、興味・購入を喚起する力が強く、またコミュニケーションは説得力を持って生活者の記憶に残すことができる』と説明しています。

三木コラムリンク
インサイトって何?
「インサイトからアイデア・ジェネレーションへ…実は難しい!!」

消費者ニーズの多様化が進む中、インサイトの発見で、競合と差別化した製品開発、効果的な広告、顧客体験向上、新規事業発見に役立つと考えられています。
しかしながら実際は、消費者のインサイトは、本人すら意識していない無意識の領域に潜んでいることが多く、捉えにくいものです。多様化するニーズの中から、その隠れた本音や葛藤を見つけ出そうとしても、必ずしも容易に見つかるわけではなく、発見に至らないケースも少なくありません。

インサイトを発見する方法

では、そうした捉えにくいインサイトを「発見する」ためには、どのような視点やアプローチが必要なのでしょうか?消費者インサイトを見つけ出すには、デプスインタビューで深層心理を探る、行動観察で無意識の行動を捉える、多様なデータを統合・分析し意外な関連性を見出すなどの方法があります。

実際のインサイト発見の事例

インサイト発見には難しさも伴いますが、実際にインサイトが見出され、その後の施策に活かされた事例もあります。ここでは定量調査で取得した多様なデータを統合・分析し意外な関連性が見つかった具体的な事例をご紹介いたします。

課題

消費財メーカーが自社の販売に伸び悩む商品A(食器用洗剤)の販売促進の戦略を立てる必要がありました。既存ユーザーの特性と、潜在顧客への効果的な訴求ポイントを洗い出すため、調査を実施しました。

実施した施策

アンケート調査で商品Aの現ユーザーを抽出し、その後、楽天インサイトの「生活意識データ」を連携させました。食器用洗剤カテゴリーのユーザー全体と比較することで、商品A現ユーザーの特徴を多角的に分析しました。

インサイト発見

調査分析の結果、興味深い事実が発見されました。特に注目されたのは、商品Aの男性ユーザーの多さです。食器用洗剤カテゴリー全体では男性の割合は3割程度であるのに対し、商品Aのユーザーに限ると4割を占めていました。なぜ、この商品が他の食器用洗剤に比べて男性に多く選ばれているのか?単なる洗浄力や香りといった機能性だけではなく、何か別の要因があるのではないか?この疑問を解明するため、楽天インサイトのアンケート会員の「生活意識データ」を連携させて、商品Aの男性ユーザー層を深掘りしました。
その結果、彼らに共通する顕著な傾向が見えてきました。それは、「住まい意識が強く、インテリアを重視する」という点に加え、「人を自宅に招くのが好き」という傾向でした。
ここで、データが示す事実の背後にある、男性たちの隠れた心理が推測されます。彼らにとって、台所は単に家事を行う場所ではなく、お気に入りの家具や小物で整えられた「インテリアの一部」であり、人を招いた際にゲストの目に触れる空間でもあります。そのため、彼らは単に汚れを落とすだけでなく、台所全体の「環境を整える」ことにも価値を見出しているのではないか、そして、洗剤選びにおいても、その機能性はもちろんのこと、ボトルデザインがキッチンの景観に馴染むか、使うことで気分が上がるかといった、より感性的な側面を重視している可能性がある、というインサイトが浮かび上がってきました。
このインサイトは、従来の「食器用洗剤は女性が使うもの」「機能性や手肌への優しさが主な訴求点」という捉え方に対し、新たな視点を与えるものとなりました。データに基づいたこの新たな発見を受け、企業様は「台所もインテリアの一部として環境を整えたい」と考える男性ユーザー層に向けた、これまでにないコンセプトの商品開発に着手されました。ボトルデザインはもちろん、香りのバリエーションやキッチンに置いた時の佇まいまで考慮した製品は、新たな市場の開拓に繋がる可能性を秘めています。
この事例は、データ分析によって新たな視点(インサイト)を発見し、より効果的な販売促進戦略の立案と商品開発方針の改善につなげることができた好例と言えます。客観的なデータに基づいた戦略立案の重要性を示す事例として、今後のマーケティング活動において参考にしていただければ幸いです。

アスキングビッグデータ詳細のリンク
https://insight.rakuten.co.jp/asking_big_data/

また、定量調査について詳しくは「【2025年最新】定量調査とは?定性調査との違いや効果的な使い分けなどをわかりやすく解説!」をご覧ください。

まとめ

本コラムでは、消費者インサイトの定義や、その発見がビジネスにもたらす価値、そして捉えにくいインサイトを見つけ出すための調査方法と事例をご紹介しました。食器用洗剤の事例のように、インサイトの発見は従来の視点を超え、新たな戦略や商品開発への重要な突破口につながります。この機会にインサイトを深く理解し、ビジネスに活用してみてはいかがでしょうか。

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