「ターゲット層の具体的な属性を数値で示してほしい」会社内からこのような要求を受けるケースは少なくありません。既存の顧客データだけでは市場の全体像が見えず、競合分析や新規セグメント開拓において客観的なデータが求められる場面が増えています。そこで重要になるのが「デモグラフィックデータ」です。
本記事では、マーケティング精度を向上させるデモグラフィックデータの基本概要と、活用を成功させるポイントを解説します。
インターネットリサーチ
デモグラフィックデータとは?基本概要から成功させるポイントまで詳しく解説
デモグラフィックデータとは
デモグラフィックデータとは、年齢、性別、居住地、職業、所得、家族構成、学歴など、人々の基本的な属性に関する統計的なデータのことを指します。これらのデータは、市場を細分化し、ターゲット顧客を特定するために非常に役立ちます。
なぜデモグラフィックデータが重要なのか
企業がマーケティング活動を行う際、すべての人に同じメッセージを送っても効果は期待できません。なぜなら、人によって興味やニーズが異なるからです。そこで、デモグラフィックデータを使って、似たような属性を持つグループ(セグメント)に分け、それぞれのグループに合わせたマーケティング戦略を展開することで、より効果的なアプローチが可能になります。
具体的な活用例としては、以下が挙げられます。
1. 年齢別ターゲティング
例:
若い世代(10代後半~20代)向けには、SNS広告やインフルエンサーマーケティングを活用し、トレンドに敏感な商品やサービスをアピールします。
高齢者向けには、テレビCMや新聞広告などを活用し、健康食品や介護サービスなどを安心感とともに訴求します。
2. 性別ターゲティング
例:
女性向けには、美容、ファッション、育児関連の商品やサービスを、SNS広告や女性向け雑誌などで訴求します。
男性向けには、ビジネス、スポーツ、趣味関連の商品やサービスを、専門誌やウェブサイトなどで訴求します。
3. 地域ターゲティング
例:
都市部向けには、最新のトレンドを取り入れた商品やサービスを、駅広告やデジタル広告などで訴求します。
地方向けには、地域に根ざした商品やサービスを、地域情報誌やイベントなどで訴求します。
4. 所得別ターゲティング
例:
高所得者層向けには、高級ブランド品や投資商品などを、富裕層向け雑誌やプライベートイベントなどで訴求します。
低所得者層向けには、低価格で高品質な商品やサービスを、チラシ広告やクーポンなどで訴求します。
5. ライフステージ別ターゲティング
例:
新婚夫婦向けには、住宅、家具、家電製品などを、結婚情報誌やブライダルフェアなどで訴求します。
子育て世代向けには、子供服、教育サービス、ファミリー向けレジャーなどを、育児雑誌やウェブサイトなどで訴求します。
シニア世代向けには、健康食品、旅行、趣味の教室などを、シニア向け雑誌やイベントなどで訴求します。
あなたがマーケティング担当になった場合
もしあなたが企業のマーケティング担当になった場合、以下のステップでデモグラフィックデータを活用した分析が可能です。
1. 自社の商品・サービスと相性の良いデモグラフィック属性を考える: どんな人が自分の商品・サービスを買ってくれそうか、年齢、性別、居住地などを具体的にイメージしてみましょう。
2. 既存顧客の分析: 既存顧客のデモグラフィックデータを分析し、どのような属性の顧客が多いのかを把握します。顧客アンケートや顧客管理システムを活用すると良いでしょう。
3. データ収集: 公的機関の統計データ(例:国勢調査)や、マーケティングリサーチ会社のデータなどを活用して、ターゲットとする市場の規模や特性を把握します。
注意すべきポイント
既存顧客のデモグラフィックデータを取り扱う際の注意ポイントです。
1. プライバシーへの配慮: 個人情報を扱う際は、プライバシーポリシーを遵守し、適切な管理を行う必要があります。
2. データの鮮度: デモグラフィックデータは常に変化します。定期的にデータを更新し、最新の情報に基づいてマーケティング戦略を立てるようにしましょう。
既存顧客のデモグラフィックデータ分析でできることは限られます。そこで消費者アンケートの登場です。消費者アンケート調査を実施することで、より詳細なデモグラフィックデータ分析をすることも可能になります。
消費者アンケート調査でできること
マーケティングにおいて、顧客を理解することは成功への第一歩です。そのために、アンケート調査とデモグラフィックデータ分析は、最強のタッグと言えます。
なぜアンケート調査が重要なのか
アンケート調査は、顧客の声を生で聞くことができる貴重な機会です。顧客のニーズ、不満、購買意欲など、直接的な情報とともに、年齢、性別、職業、家族構成など回答者のデモグラフィックデータを収集することができます。
アンケート調査で収集した情報を、顧客の属性や意識データなどのデモグラフィックデータで分析することで、より深い分析が可能になります。
アンケート調査とデモグラフィックデータ分析の具体的な活用例
以下は、アンケート調査とデモグラフィックデータを戦略に活用した例を取り上げます。
• ターゲット顧客の特定
アンケートで「自社の商品をどこで知ったか」を質問し、回答者のデモグラフィックデータを分析することで、どの層にアプローチすべきか明確になります。
例えば、「SNS」と回答した人が20代女性に多い場合、SNS広告に力を入れるべきだと判断できます。
• 商品開発への活用
アンケートで「既存商品の不満点」を質問し、回答者のデモグラフィックデータを分析することで、どの層がどんな不満を持っているのかを把握できます。
例えば、「価格が高い」という不満が40代男性に多い場合、低価格版の商品を開発することを検討できます。
• 顧客満足度向上
アンケートで「顧客満足度」を質問し、回答者のデモグラフィックデータを分析することで、どの層の満足度が低いのかを把握できます。
例えば、「サポート対応」に対する不満が60代以上に多い場合、シニア向けのサポート体制を強化する必要があるかもしれません。
楽天インサイトでできること
楽天インサイトは、アンケート調査を実施する際に楽楽プロファイルを提供しています。
楽楽プロファイルでは、アンケート結果から得られた情報と楽天インサイトが蓄積する大規模な価値観データを連携することができ、回答者の性年代などの属性情報や、ライフスタイルや価値観などの生活意識データから、簡単に「プロファイルシート」の作成をすることが可能です。
楽楽プロファイルを活用してデモグラフィックデータの集約に以下のようなメリットがあります。
- 工数削減: プロファイルシートやグラフ、データ要約が自動で作成されるため、手作業による時間と労力を大幅に削減できます。
- ターゲット解像度の向上: アンケート結果と大規模価値観データを連携させることで、ターゲット層の理解を深めることができます。
- スピーディなアウトプット: 調査データを受け取ってからプロファイル生成までが迅速に行えます。
活用事例としては、以下のようなものが考えられます。
- 広告接触者の人物像把握: 広告に接触した人がどのような属性を持っているか、説明資料をすぐに作成できます。
- コンセプト受容層の分析: 調査結果から、コンセプトを受け入れやすい層の人物像を深く理解できます。
- 調査結果の客観的な解釈: 主観に左右されず、客観的なデータに基づいてターゲット分析ができます。
まとめ
デモグラフィックデータは、顧客理解の基本的な情報です。こちらにアンケート調査結果を加えるとさらに深い分析が可能になります。なおデモグラフィックデータとアンケートデータを最大限活用するには、専門ツールの活用も有効です。
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