2025.08.29

デジタルマーケティング

OOH広告の基本と実践方法を徹底解説!種類・メリット・成功のポイントまで

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デジタル広告が主流となった現代においても、街中で目にする大型ビジョンや電車内の広告、駅構内のポスターなど、私たちの日常生活には数多くの屋外広告が存在します。これらの広告は「OOH(Out of Home)」と呼ばれ、家の外で接触するあらゆる広告メディアを指します。

スマートフォンの普及により消費者の情報接触が多様化する中、OOH広告は「偶然の出会い」を創出し、強いインパクトを与える貴重な接点として再注目されています。デジタルサイネージの発展により表現の幅が広がり、SNSとの連携による拡散効果も期待できるようになりました。

本記事では、OOHの基本概念から具体的な種類、効果的な活用方法、そして成功させるためのポイントまで、包括的に解説します。OOH広告の活用を検討している方にとって、実践的な情報をお届けします。

OOHとは?

OOHとは「Out of Home(アウト・オブ・ホーム)」の略称で、その名の通り「家の外」を意味し、消費者が自宅以外の場所で接触するあらゆる広告メディアの総称を指します。

従来のテレビ、新聞、雑誌といったマスメディアが家庭内での接触を前提としているのに対し、OOHは生活動線の中で自然に接触できる広告として位置づけられています。通勤や外出、買い物といった日常的な移動の中で、消費者に直接アプローチできる点が大きな特徴です。

OOH広告には、交通広告、屋外看板、デジタルサイネージなどさまざまな形態があり、設置場所や表現方法によって多様な活用が可能です。近年ではデジタル技術の発展により、従来の静的な広告から動的でインタラクティブな広告へと進化を続けています。

OOH広告と屋外広告の違い

OOHと似た概念に「屋外広告」がありますが、両者には明確な違いがあります。

屋外広告は文字通り屋外に設置された広告のみを指します。それに対し、OOHはより広い概念であり、屋外に設置された看板やビジョンだけでなく、電車内や駅構内、商業施設内のデジタルサイネージ、タクシー内の広告なども含まれます。

つまり、「屋外」という場所に限定されず、「家の外で接触する」すべての広告がOOHの範囲に含まれるため、屋外広告はOOHの一部分と考えることができます。この違いを理解することで、より効果的な広告戦略の立案に繋げることが可能です。

OOHの主な種類

OOHには多様な種類があり、それぞれ異なる特徴と効果を持っています。ここでは、代表的なOOH広告の種類をご紹介します。

交通広告

電車、バス、タクシーなどの公共交通機関を活用した広告です。車内の中吊り広告やドア横ポスター、車体ラッピング、駅構内のポスターやデジタルサイネージなどが含まれます。

通勤・通学で利用する人が多く、同じ路線を継続的に利用することから高い接触頻度が期待できます。エリアを限定したターゲティングも可能で、ビジネス街では会社員向け、学生街では若年層向けといった使い分けが可能です。

屋外看板・ビルボード

道路沿いや交差点、ビルの屋上や壁面に設置される大型の看板広告です。視認性が高く、遠距離からでも認識できるため、ブランド認知の向上に効果的です。

高速道路沿いの看板は車での移動中に、駅前の看板は徒歩での移動中に接触でき、設置場所によって異なるターゲットにアプローチできます。

街頭ビジョン・デジタルサイネージ

繁華街や駅前などの人通りの多い場所に設置される大型の電子ディスプレイです。動画や音声による表現が可能で、視覚的・聴覚的なインパクトを与えられます。

渋谷や新宿などの主要エリアの街頭ビジョンは、地域のランドマーク的存在となっており、話題性の創出やSNSでの拡散効果も期待できます。

ラッピングカー・アドトラック

車体全体に広告を装飾した移動式の広告メディアです。特定のエリアや時間帯を狙った機動的な運用が可能で、イベントやキャンペーンに合わせた柔軟な展開ができます。

音響設備を搭載できるものもあり、視覚と聴覚の両方でインパクトを与えられます。「動く広告」として注目を集めやすく、SNSでの撮影・投稿を促す効果もあります。

施設内広告

商業施設、病院、オフィスビルなどの屋内に設置される広告です。エレベーター内のモニター、エスカレーターの手すり、待合室のポスターなどが該当します。

滞在時間が長い場所では、詳細な情報を伝えることが可能です。施設の利用者属性に合わせたターゲティングができるため、効率的な訴求が期待できます。

OOH広告のメリット

OOH広告には他の広告メディアにはない独自のメリットがあります。

高い視認性とインパクト

OOH広告の最大のメリットは、その大型サイズによる圧倒的な視認性です。街頭ビジョンや大型看板は、遠くからでも認識でき、強い視覚的インパクトを与えます。

デジタル広告のように画面をスクロールして見過ごされることなく、物理的な存在感により確実に視界に入るため、広告への接触を避けにくいという特徴があります。

繰り返し接触による記憶定着

OOH広告は生活動線上に設置されるため、同じ消費者が継続的に接触することが多く、繰り返し効果による記憶定着が期待できます。

通勤路線の車内広告や自宅周辺の看板など、日常的に目にする広告は自然に印象に残り、ブランド認知や想起率の向上につながります。

地域・属性別のターゲティング

設置場所の選択により、効果的なターゲティングが可能です。ビジネス街では会社員、住宅街では主婦層、学生街では若年層といったように、エリアの特性を活かした訴求ができます。

時間帯による使い分けも可能で、朝の通勤時間には出勤者向け、夜間には帰宅者向けのメッセージを配信するなど、より精密なターゲティングが実現できます。

SNSとの高い親和性

インパクトのあるOOH広告は、見た人がSNSで写真や動画を投稿する「二次拡散」効果が期待できます。特にユニークな表現や話題性のある内容は、オーガニックな拡散により広告効果を大幅に増大させる可能性があります。

ハッシュタグやQRコードと組み合わせることで、オフラインからオンラインへの誘導も効果的に行えます。

OOH広告のデメリット

一方で、OOH広告にはいくつかのデメリットも存在します。

効果測定の困難さ

従来のOOH広告は、デジタル広告のように詳細な効果測定が困難でした。誰がいつ広告を見たのか、その後どのような行動を取ったのかを正確に把握することが難しく、ROI(投資対効果)の算出に課題がありました。

ただし近年では、位置情報データやデジタルサイネージの視聴データなどを活用した効果測定手法が開発されており、この課題は徐々に解決されつつあります。

制作・設置コストの高さ

大型の看板やデジタルサイネージの制作・設置には、相応のコストがかかります。また、人気の高い立地では出稿費用も高額になる傾向があります。

長期間の掲出が前提となることが多く、短期的なキャンペーンには向かない場合もあります。

表現内容の制約

屋外広告物法や各自治体の条例により、設置場所や表現内容に制約があります。また、公共性の観点から、過激な表現や不適切な内容は規制される場合があります。

DOOH(Digital Out of Home)の台頭

近年注目されているのが、DOOH(Digital Out of Home)と呼ばれるデジタル技術を活用したOOH広告です。

DOOHは従来の静的な広告に対し、動画や音声、インタラクティブな要素を組み込むことで、より豊かな表現と高い訴求力を実現します。リアルタイムでの内容変更も可能で、天候や時間帯に応じた最適なメッセージを配信できます。

また、センサーやカメラを活用することで、視聴者数や属性の推定、注目度の測定なども可能になり、従来のOOHが抱えていた効果測定の課題解決にもつながっています。

OOH広告の活用事例

ここでは、効果的なOOH広告の活用事例をいくつかご紹介します。

ブランド認知向上キャンペーン

大手飲料メーカーが新商品のローンチに合わせて、主要駅の街頭ビジョンと電車内デジタルサイネージを連動させたキャンペーンを実施しました。統一されたクリエイティブで複数のOOHメディアを活用することで、短期間で高いブランド認知を獲得しました。

地域密着型プロモーション

地方の観光地が誘客促進のため、首都圏の主要駅に季節の風景を映した大型ポスターを掲出。QRコードから特設サイトに誘導し、旅行予約につなげる仕組みを構築しました。オフラインからオンラインへの効果的な導線設計により、高いコンバージョン率を実現しました。

SNS連動キャンペーン

アパレルブランドが渋谷の大型ビジョンに3D映像を使ったインパクトのある広告を放映。見た人がSNSで撮影・投稿することを想定し、専用ハッシュタグを設定しました。結果として多数の投稿が生まれ、オーガニックな拡散により大きな話題となりました。

OOH広告を成功させるポイント

効果的なOOH広告を実施するためには、いくつかの重要なポイントがあります。

事前の市場調査と消費者理解

OOH広告の成功には、ターゲットとなる消費者の行動パターンや嗜好の深い理解が不可欠です。どの場所にどのような属性の人が、いつ、どれくらいの頻度で通るのかを把握することで、最適な設置場所とタイミングを決定できます。

また、ターゲットの価値観やライフスタイルを理解することで、響くメッセージやクリエイティブを開発できます。事前の消費者調査により、広告効果を大幅に向上させることが可能です。

適切なメディア選択と組み合わせ

OOH広告には多様な選択肢があるため、キャンペーンの目的と予算に応じた最適なメディア選択が重要です。認知拡大が目的なら街頭ビジョン、エリア限定のプロモーションなら交通広告といったように、目的に応じた使い分けが必要です。

複数のOOHメディアを組み合わせることで、接触頻度を高め、より強いインパクトを与えることも可能です。

インパクトのあるクリエイティブ

限られた時間で印象に残るクリエイティブの開発が重要です。大胆なビジュアルやシンプルで覚えやすいメッセージ、ユニークなアイデアなど、一瞬で注意を引く要素が求められます。

事前にデジタル広告でのテストマーケティングを実施し、反応の良いクリエイティブを特定してからOOHを展開することで、成功確率を高められます。

効果測定と改善

OOH広告の効果を正確に測定し、次回への改善につなげることが重要です。ブランド認知度調査、広告想起調査、消費者行動調査などを実施することで、広告の効果を定量的に把握できます。

位置情報データや来店客数の変化、Webサイトへのアクセス状況なども含めた総合的な効果測定により、ROIを算出し、投資対効果を評価することが可能です。

OOH広告における調査の重要性

効果的なOOH広告の実施には、企画段階から効果検証まで、各段階での調査・分析が不可欠です。

企画段階での消費者調査

ターゲットの行動パターン、メディア接触状況、ブランドに対する認知・意識などを事前に調査することで、最適なOOH戦略を立案できます。定性調査により深い消費者インサイトを発掘し、定量調査で市場全体の傾向を把握することが重要です。

定量調査について詳しくは「【2025年最新】定量調査とは?定性調査との違いや効果的な使い分けなどをわかりやすく解説!」をご覧ください。

クリエイティブ開発での検証

広告素材の開発段階では、複数の案に対する消費者の反応を比較検証することで、最も効果的なクリエイティブを選択できます。印象度、理解度、好感度などの指標により、客観的な評価が可能です。

効果測定調査

OOH広告実施後は、認知度の変化、ブランドイメージの向上、購買意向への影響などを測定し、広告効果を定量的に評価します。従来のアスキング型調査(アンケートなど)に加え、近年では位置情報ログデータやデジタルサイネージの視聴データなどを活用することで、より客観的かつリアルな接触状況や行動変容を把握できるようになりました。

楽天インサイトでは、大規模なパネルネットワークを活用したアンケート調査に加え、提携パートナーとの連携により、消費者の移動データや来店データといった位置情報ログデータを活用したOOH広告の効果測定が可能です。これにより、広告への接触から購買・来店までの行動を可視化し、ROI(投資対効果)をより精緻に評価できるため、次なる施策の改善へと繋げられます。

継続的な効果測定により、長期的なブランド価値向上への寄与も確認できます。

まとめ

OOH広告は、デジタル時代においても独自の価値を持つ重要な広告メディアです。高い視認性とインパクト、繰り返し接触による記憶定着効果、そしてSNSとの親和性により、ブランド認知向上や消費者との強い接点創出が期待できます。

その成功の鍵は、事前の綿密な市場調査と消費者理解、適切なメディア選択、インパクトのあるクリエイティブ開発、そして的確な効果測定にあります。

OOH広告の効果を最大化するための調査・分析をお考えの際は、ぜひ楽天インサイトへお気軽にご相談ください。

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