2025.10.09

デジタルマーケティング

「なんとなく」をなくす!ブランドリフト調査で広告の課題を明確に

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広告の効果測定、皆さんはどのようにされていますか?「なんとなく良さそうだった」といった曖昧な感覚で終わっていませんか?多額の費用を投じる広告だからこそ、その効果は明確に把握したいものです。

本コラムでは、広告効果測定の新たなスタンダードとなりつつある「ブランドリフト調査」に焦点を当て、その有効性と具体的な活用法を解説します。長年行われてきたアンケートによる事前事後調査との違いを明確にし、コトラーの理論を交えながら、広告が顧客に与える影響をいかに数値化し、次の戦略に活かすかをご紹介します。「なんとなく」ではない、データに基づいた広告戦略を共に考えていきましょう。

アンケートによる広告の事前事後調査とブランドリフト調査の違い

まず、アンケート調査でよく行われる広告の事前事後調査と、ブランドリフト調査の違いについて触れたいと思います。

端的に言うと、事前事後調査は「広告による市場全体の変化」を分析するもので、ブランドリフト調査は「広告が顧客に与えた影響を分析」する調査です。

目的が異なるため、視点も異なります。事前事後調査は、プロモーション全体が成功したかどうか(プロモーションが市場全体に影響を与えたか)を測るのに対し、ブランドリフト調査は、調査対象の広告が成功したかどうかを分析します。

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この様に、調査の目的によって、「市場変化を分析できる事前事後調査」と、「広告効果をピンポイントで検証できるブランドリフト調査」を使い分ける必要があります。

ブランドリフト調査の有効性

「市場変化を分析できる事前事後調査」は、古くから実施されており、マーケット全体を把握できる有効な手法として広く浸透しています。一方、「広告効果をピンポイントで検証できるブランドリフト調査」は比較的新しい手法であるため、その有効性について理解が曖昧な方もいらっしゃるかもしれません。そこで、ブランドリフト調査の意義についてもう少し掘り下げていきましょう。

広告出稿を実施している企業は、広告を出したくて出稿しているわけではなく、前提として、「広告によって企業課題が解決できる」と信じるから出稿されていることと思います。ブランドリフト調査は、「あなたが信じる広告効果が実現できたか」をピンポイントで検証します。

例えば、フィリップ・コトラー氏がマーケティング4.0で提唱している考え方で言うと、顧客の購買プロセスは、認知→訴求→調査(情報収集)→行動→推奨のフレームにおいて、今回出稿した広告は特に「訴求」の面で効果を出したいと考えていたとします。

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この「訴求」をブランドリフト調査のアンケート票に翻訳すると、「商品理解」「興味喚起」などを問う質問になります。これらを聴取することで、狙い通りに、今まであまり知られていなかった商品やサービス特徴について「訴求」効果があったかどうかを、ブランドリフト調査で確認することができます。

調査結果の見方と推計

ブランドリフト調査を調査会社に依頼すると、調査結果レポートは一般的に以下の図のような形式で提供されます。

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この例では、商品認知、商品理解、好感において有意な差があり、ブランドリフト効果があったと判断できます。一方で、比較や利用意向は変化していないという結果です。

利用意向が上がっていないから失敗なのかと言うとそうではなく、先ほどの例で言うと、本件のプロモーション目的は商品理解の拡大。理解浸透と同時に好感も連動して上昇していることから、ブランド毀損をすることなく、良好なイメージで理解浸透に成功していると考えられます。

ここまでで、「広告効果は狙い通りだった!」と確認できましたが、これに加えて、調査結果を使って推計値を出すこともできます。

上図の商品理解をみると、接触者グループの調査結果は40.0%です。仮に今回の広告リーチ(ユニークユーザーでも可)が、100万人だったとした場合、100万人×40.0%で、40万人が商品理解した、と拡大推計できます。

一方、非接触者グループは「もし広告を出稿しなかったら100万人はどう動くか」を調査したものです。調査結果は28.3%ですので、100万人×28.3%で28.3万人となります。これは、今回の広告が無くても、口コミや他のメディア、SNS、公式サイトなどから、28.3万人は自然に商品理解者が出るでしょうという拡大推計です。

そして、接触者の40万人から非接触者の28.3万人を引いた11.7万人が、今回の広告による純増数、つまり新規獲得者数と推計できます。

このように、広告効果を実数化すると、広告費の総額から単価を出すこともできるため、調査結果の活用の幅が広がります。

調査結果から「次の課題」を抽出する

ブランドリフト調査は、広告の効果を数値化し、広告費に対するリターンを明確にする強力なツールです。得られたデータは、今後の広告戦略を練るうえでの貴重な基礎資料となります。

例えば、商品理解は向上したが、利用意向が伸び悩んだ場合、広告の内容は理解促進には寄与したものの、実際の行動変容を促すには至らなかったという課題が見えてきます。この場合、次の広告では、商品理解が浸透したことを前提としたうえで、具体的な利用シーンを提示し自分ごと化を促進する施策や、トライアルを促進する限定的なキャンペーン施策など、利用意向を高めるための訴求に重きを置くことも考えられます。

また、接触者のデータをドリルダウンしていくと、広告効果が限定的であった属性や、まったく届かなかった属性を特定するのにも役立ちます。これらの層に対して、どのようなチャネルやメッセージでアプローチすれば効果的か、新たな議論すべき課題が見つかります。

まとめ

このように、ブランドリフト調査の結果を多角的に分析することで、広告の成功だけでなく、改善すべき課題を具体的に洗い出すことができます。そして、これらの課題に基づいて、次なる広告戦略をより精密に、そして効果的に構築していくことが可能になります。

もし今後、ブランドリフト調査を実施される場合は、調査結果を単なる「結果報告」に終わらせず、次のアクションを生み出すための強力な基礎資料としてもご活用いただけますと幸いです。

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