アンケートやインタビューなどの調査を実施したものの、「集めたデータをどう分析すればよいのかわからない」「調査結果を分析する方法にはどんな種類があるのだろう」とお悩みではありませんか。
せっかく時間とコストをかけて収集したデータも、適切な分析方法を選ばなければ、有益な示唆を引き出すことはできません。
本記事では、調査結果の分析方法の基本的な定義や目的を押さえたうえで、定量調査・定性調査それぞれに適した分析手法を網羅的にご紹介します。
さらに、クラスター分析をはじめとした応用的な手法の使い方、そして実務で役立つ具体的な分析ステップまで丁寧に解説していきます。
調査結果分析とは?基本の定義と目的
調査結果の分析とは、収集したデータから重要な傾向や特徴を捉え、その背景や意味を考察することで、ビジネス上の示唆やインサイト、意思決定につなげる一連のプロセスです。
調査結果分析の主な目的
調査結果分析の方法を理解するうえで、まず「何のために分析するのか」を明確にすることが重要です。
主な目的は以下の3つに整理できます。
- 意思決定の支援: 新商品の投入判断や価格設定など、経営判断の根拠となるデータを提供します。
- 課題の発見と解決: 顧客満足度調査の結果から離反要因を特定するなど、具体的な改善アクションにつなげます。
- 仮説の検証: 例えば「30代男性はデザインよりもブランドを重視する」といった仮説を、データで裏付ける、または棄却します。
定量調査と定性調査の比較表
| 比較項目 |
定量調査 |
定性調査 |
| データの形式 |
数値・量で表現(消費額、満足度スコアなど) |
言葉・文脈で表現(インタビュー回答、自由記述など) |
| 主な分析手法 |
単純集計、クロス集計、多変量解析(回帰分析など) |
KJ法、コーディングなど |
| 得意とすること |
「何が(WHAT)」「どのくらい(HOW MUCH)」 |
「なぜ(WHY)」「どのように(HOW)」 |
| サンプルサイズの目安 |
数十〜数千件以上 |
数名〜数十名程度 |
| 代表的な調査方法 |
Webアンケート、会場調査、電話調査 |
デプスインタビュー、グループインタビュー、また、AIを活用したチャットインタビューも徐々に浸透 |
調査結果分析の方法は、扱うデータの性質によって大きく2つに分かれます。
たとえば、顧客満足度調査で「満足している」と回答した割合が60%だったとします。
これは定量データとして全体の傾向を示してくれますが、なぜ満足しているのかという深層心理までは分かりません。
そこで定性調査を組み合わせ、インタビューで「担当者が親切だった」「カスタマーサポートが手厚かった」といった具体的な理由を引き出すことで、初めて実行可能な施策に落とし込めるのです。
このように、調査結果分析とは単なるデータ処理ではなく、目的に応じた手法を選び、データから行動につながる知見を抽出するプロセスです。
次のセクションでは、定量調査・定性調査それぞれの具体的な分析手法について詳しく解説していきます。
定量調査の結果分析方法
定量調査とは、調査の対象者にアンケートを実施し、例えばブランドの認知度やイメージ、購入意向についての回答を得るなど、結果を数値で表現できるデータを扱う調査のことです。
調査結果の分析方法として最も基本的なアプローチであり、客観的な根拠に基づいた意思決定を可能にします。ここでは、すぐに実践できる4つの手法を順を追って解説します。
1.単純集計:全体の傾向をつかむ
単純集計は、各設問の回答を合計し、割合や件数を算出するシンプルな手法です。
例えば、顧客満足度調査で「満足」と回答した人が全体の60%、「不満」が10%といった全体像を把握できます。
まずはこの集計で回答の全体傾向を把握することが、分析の出発点になります。
2.クロス集計:属性別の違いを浮き彫りにする
単純集計で全体の傾向を把握したら、次はクロス集計で深掘りしましょう。
これは、性別・年代・地域などの属性ごとにデータを分割して比較する手法です。
例えば「女性30代の満足度は70%だが、男性50代では40%」といった差異が見えてきます。
この使い方を覚えると、ターゲットごとの傾向や課題を把握し、施策検討に役立つ示唆を得ることができます。
3.統計解析の基礎:代表値とばらつきを理解する
調査結果を正しく読み解くには、平均値だけでなく、データの中心やばらつきを表す基本的な統計指標を理解することが大切です。
| 指標 |
意味 |
活用場面 |
注意点 |
| 平均値 |
データの合計÷個数 |
全体的な水準を把握したいとき |
極端な値(外れ値)の影響を受けやすい |
| 中央値 |
データを大きさの順に並べた中央の値 |
年収など、偏りのあるデータを見るとき |
データ全体の分布まではわからない |
| 標準偏差 |
平均値からのばらつきの大きさ |
回答のばらつきを比較したいとき |
分布の形までは分からない |
例えば、2つの店舗の顧客満足度がともに平均4.2点でも、標準偏差が一つの店は0.2、もう一つの店は1.6の場合、後者の店舗のほうが顧客による評価のばらつきが大きいことがわかります。
平均値だけでなくばらつきにも注目することが、正確な解釈のコツです。
4.多変量解析:複数の要因や関係性を捉える応用手法
さらに踏み込んだ分析として、多変量解析があります。
これは、複数の変数を同時に分析することで、変数同士の関係やデータの背後にある構造を明らかにする手法の総称です。
例えば、売上に影響する要因を分析する「回帰分析」、多数の項目から共通する要因を見つける「因子分析」、似た特徴を持つ人をグループ化する「クラスター分析」などがあり、目的に応じて使い分けます。
このように、定量調査の分析方法は単純集計やクロス集計で全体像を捉え、必要に応じて統計解析や多変量解析へと分析を深めていきます。まずは単純集計から始め、目的に応じて手法をステップアップさせていきましょう。
定性調査の結果分析方法
定性調査では、インタビューでの発言や自由記述回答など、主に言葉や文脈からなるデータを扱います。
定量調査が実態や傾向を量的に捉えることを得意とするのに対し、定性調査は、その背景にある理由や意識、文脈を深く理解できることが強みです。
ここでは、定性データを整理・分析する手法例と、分析する際の注意点を解説します。
コーディングとカテゴリー化:発言をラベルで整理する
インタビューの逐語録や自由回答といった膨大な定性データに対し、内容を精査しながら共通する概念や意味のまとまりごとに「タグ(コード)」を付けて整理する手法をコーディングと呼びます。
例えば、UI/UXに関するインタビューで「直感的に操作できる」「説明書なしで動かせる」といった声が集まった場合、それらを「UIの親和性」や「操作の習得容易性」といったラベルに分類して体系化していきます。
こうしてコードを上位カテゴリーにまとめることで、散在する声を体系的に整理できます。
調査結果の分析方法の使い方として、定性データを構造化する基本技術といえるでしょう。
KJ法:アイデアや意見を構造化する
KJ法は、文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した手法で、個々の発言やアイデアをカードに書き出し、類似するものをグループ化して関係性を図解します。
具体的には、次の手順で進めます。
1.発言や意見を1枚1件ずつカード(付箋)に書き出す
2.内容が近いカード同士をグループにまとめる
3.各グループに見出しを付け、グループ間の関係性を矢印などで図示する
この方法は、インタビューや自由回答などで得られた多くの発言・意見を整理する際に有効です。
個々の発言をグループ化し、相互の関係性を可視化することで、共通するテーマや背景にある課題構造を捉えやすくなります。
定性データ分析の注意点
定性データの分析では、分析者の解釈や先入観が結果に影響する可能性があるため、分析の進め方に注意が必要です。以下のポイントを意識しましょう。
1.必要に応じて複数人で分析結果を確認し、解釈の偏りを抑える
2.都合の良い発言だけを取り上げる「チェリーピッキング」を避ける
3.定量データなど他の情報も組み合わせ、多面的に結果を捉える
定性調査の分析には丁寧な読み解きが必要ですが、数値だけでは捉えにくい顧客の意識や行動の背景、理由や文脈を理解するうえで重要なプロセスです。
調査結果分析の具体的なステップ
ここまで定量・定性それぞれの手法を紹介してきましたが、実際に調査結果の分析方法を実践する際には決まった手順を踏むことが重要です。
手順を飛ばすと、的外れな結論を導いてしまうリスクがあります。
ここでは、7つのステップに分けて解説します。
ステップ1:分析目的の明確化
まず「この分析で何を明らかにしたいのか」を言語化しましょう。
ポイントは、WHAT(何が起きているか)を知りたいのか、WHY(なぜ起きているか)を知りたいのかを区別することです。
例えば「30代女性の購入率が低い原因を特定する」のように、具体的なゴールを設定すると後工程の手法選びがスムーズになります。
ステップ2:データソースの選定
目的に合ったデータを選びます。主な選択肢は以下のとおりです。
| データソース |
特徴 |
適した場面 |
| 官公庁統計(e-Statなど) |
無料・信頼性が高い |
市場規模や人口動態の把握 |
| 調査会社レポート |
専門的・業界特化 |
競合分析やトレンド調査 |
| 自社調査(アンケートなど) |
目的に最適化できる |
顧客理解や自社課題の把握 |
複数のソースを組み合わせると、分析の精度が格段に高まります。
ステップ3:分析前のデータ整備(クリーニング)
集めたデータには欠損値や外れ値、表記ゆれが含まれることがあります。ExcelやPower Query、Pythonのpandas、Rなどを活用し、データの確認や欠損への対応、表記の統一などを行い、分析しやすい状態に整えましょう。
ステップ4:集計
前のセクションで解説した単純集計で全体傾向をつかみ、続いてクロス集計で属性別などの分析軸で違いを確認します。
この2段階を踏むだけでも、データの輪郭が明確になります。
ステップ5:分析手法の選択と実行
目的とデータの種類に応じて、多変量解析など適切な手法を選びます。
調査結果の分析方法とは、目的に合った手法を正しく使いこなすことにほかなりません。
迷った場合は「因果関係を見たいなら回帰分析」「グループ分けならクラスター分析」のように目的ベースで判断してください。
ステップ6:データの意味付けと示唆の導出
数値結果をそのまま報告するのではなく、それがビジネスにどのような影響を与えるのかを深く考察してください。
例えば「30代女性の満足度が前年比で15ポイント低下」というデータからは、単なる評価の悪化だけでなく、「特定のターゲット層において、サービスへの期待と実態との間に乖離が生まれている可能性がある」と読み解き、早急な改善施策を検討する判断材料として活用します。
ステップ7:レポート作成と意思決定への活用
最後に、分析結果をグラフや表で可視化し、関係者が理解しやすいレポートにまとめます。
結論・根拠・推奨アクションの3点を明記すると、意思決定に直結する実用的な資料になります。
まとめ
本記事では、調査結果の分析方法について、基本的な定義や目的から具体的な手順まで幅広く解説してきました。
ポイントを振り返ると、まず調査結果分析の目的は何かを正しく理解することが出発点になります。
そのうえで、数値データを扱う定量分析と、インタビューなどでの言語情報を扱う定性分析では、それぞれ適したアプローチが異なる点を押さえておくことが大切です。
さらに、目的の設定からデータの整理・集計・解釈・報告に至るまでの具体的なステップを踏むことで、分析の精度と再現性が格段に高まります。
調査結果の分析方法の使い方を知識として理解したら、次はぜひ実践に移してみてください。
まずは小規模なアンケートや既存データを使い、本記事で紹介したステップを一つずつ試すのがおすすめです。
よくある質問
- アンケート結果を集めた後、最初に何から手をつければよいですか?
-
まずはデータクリーニングから始めましょう。未回答や矛盾した回答を除外し、分析に使える状態に整えます。次に単純集計で全体の傾向を把握し、そのうえでクロス集計や相関分析など詳細な調査結果の分析方法へ進むのが基本的な流れです。たとえば満足度アンケートなら、全体平均を出した後に年代別・性別ごとの差を確認すると、具体的な改善策が見えやすくなります。
- 定量データと定性データは組み合わせて分析したほうがよいのでしょうか?
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はい、両者を組み合わせる方法は非常に効果的です。定量データで「満足度が低い」という事実を把握し、定性データのインタビュー回答で「なぜ低いのか」を深掘りすると、説得力のあるインサイトが得られます。たとえばNPSスコアが低い顧客層を特定し、その層に対して定性調査を実施することで、具体的な不満要因と改善の優先順位を明確にできます。
- 分析ツールは無料のものでも十分に対応できますか?
-
調査の規模や目的によりますが、GoogleスプレッドシートやGoogleフォームの集計機能でも十分に対応可能です。ピボットテーブルを使えばクロス集計が簡単にでき、グラフ作成も直感的に行えます。調査結果の分析方法をまず実践で身につけたい段階なら無料ツールで始め、より大規模なデータや様々な切り口での分析、多変量解析などを実施する場合にはリサーチ会社に相談するとよいでしょう。
監修
楽天インサイト コラム編集部
楽天インサイト株式会社 マーケティンググループ
220万人のパネルデータや楽天グループの行動ログ、AIを活用したリサーチで培った知見をもとに、マーケティングに役立つ情報をお届けします。
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