消費者はブランドに対する知識をどのように蓄えているのか?
その知識構造を明らかにするアプローチとは・・・

始めにブランドとは何かのおさらいです。(第12回)
ブランドとは、商品・サービス・広告・店舗・評判など(タッチポイント)と接触した結果、消費者の心の中で特定の名前やシンボルの下にまとまった「連想(知識・体験・感情・印象など)」の集合体である、ということができます。「消費者の頭の中に、ブランドの名前のついたフォルダがある」というイメージです。

三木康夫

ケラーの「戦略的ブランド・マネジメント」によると、顧客ベースのブランド・エクイティ(CBBE)の考え方では、ブランド知識がブランド・エクイティの創造の鍵を握っており、ブランド・エクイティを強化する差別化効果を生み出すのがブランド知識です。したがって、マーケターは消費者のブランド知識が消費者の記憶にどのような形で存在しているかを理解する必要があります。

ここで、ブランド知識とは、経験を通じて消費者の(頭の)中に蓄えられる事柄のことで、情報が一貫したまとまりを持ち、問題を解釈し、解決するための思考パターンをすぐに呼び出せるようになった状態のことです。ブランド知識は製品やブランド、属性といった対象や自らの経験といった認知要素が、消費者の記憶内において、あるまとまりを持った「認知の構造」として貯蔵されているのです。

ブランドの知識構造

ブランド知識がどのように消費者の頭の中に蓄えられているか、を理解するモデルの1つとして、「連想ネットワークモデル」あります。ネットワーク構造とは、あるブランドAについて「全体印象」を軸として、Aについての個別の情報がネットワーク状に位置づけてあると考えられています。消費者は様々なタッチポイントで、Aに接触するたびに、このネットワークの構造を更新し続けているのです(パスが太くなったり、細くなったり、新たにできたり)。ただし普段の接触は、無意識に行われることがほとんどなので、この構造は多くの場合変わりません。よいイメージは、接触においてよほど感動がないと良いほうに更新されませんが、接触時に不満があると、ネットワーク構造は簡単に悪いほうに更新されてしまいます。

このようなネットワーク構造を理解するためには、定性調査が適しています。ラダリングテクニックを使えば、上位概念、下位概念に分けて、階層構造で整理することもできます。また、ヘビーユーザー・ライトユーザー別にネットワーク構造を理解することで、何がドライバーになっているかも理解できます。

定性調査だけでなく、定量調査でも、パス解析や構造方程式(SEM)などでもアプローチできます。

消費者の知識構造:連想ネットワークモデル

食酢のイメージの広がりの違いからドライバーを探索する

カテゴリーの知識構造

消費者が商品を特定のグループに分類することを商品カテゴリー化といいます。商品カテゴリー化も消費者の認知構造の一つです。消費者は商品を見たとき、これはコーヒー、紅茶というようにカテゴリーに分けて理解することを日常生活において普通に行っています。また消費者の間で、カテゴリーに対する共通の概念(コーヒーといったらこんなもの)があるので、コミュニケーションも円滑になるのです。

商品カテゴリー化は消費者が店頭で商品を探すときの重要な手がかりになります。またポジショニング戦略にとっても、消費者のカテゴリー構造を利用するとスムーズに知覚されます。また、カテゴリー化は商品カテゴリーが名詞として言葉で表現できなくても存在することができます(たとえば、チョコレートではなく、ポッキーのようなもの、キットカットのようなものでOK)。既存カテゴリーの中で4~5番手にいるよりも、サブカテゴリーの中で、存在感があることのほうが大事です。

マーケティング上では、カテゴリー構造の把握は市場構造を把握しブランド間の競争関係を理解する上で重要な戦略情報です。

消費者の知識構造:カテゴリー知識構造

消費者のカテゴリー構造を理解するアプローチのひとつとして、グルーピング・テクニックがあります。20~30の商品をいくつかのグループに分けてもらい、その理由が分かればよいのですが、次のように工夫すれば、より良い情報が得られます。

Q1:この全体を(メーカー以外のことで)2つのグループに分けてください。
Q2:そのようにした理由は何ですか?

これを何回か繰り返します。そうすることによって、グループに分けた順序とその理由が分かります。定量調査でやれば、商品ごとに、分けられた理由がコーディングされますから、コレスポンディング分析が適用され、デンドログラムとマッピングから市場構造が理解できます。

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