第10回

NPS®調査の理解と活用
-NPS®調査に関するよくある質問 (第1回目)-

NPS®調査の理解と活用 -NPS®調査に関するよくある質問 (第1回目)-執筆 : 植村 史明

楽天インサイトでは、多くの企業様へのNPS導入のコンサルティングを行っており、様々な業界におけるNPS運用のノウハウを蓄積しております。今回はNPS導入に関して、よくいただく質問をご紹介し、NPS調査について理解を深めて頂けたらと考えています。

【注】NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。楽天インサイトは、2017年にベイン・アンド・カンパニー社から日本国内においてNPS調査をサービスとして展開するためのライセンスを取得し、楽天グループ、及び楽天グループ以外のお客様にNPS調査のコンサルティングサービスをご提供しています。

Q1.NPSを導入することを決めたのですが、設計にあたり留意すべきことは何でしょうか?

  1. NPSは、競合に対する自社の相対的な位置づけを把握することによって初めて、スコアは意味を持ちます。よって、自社のスコアだけを測定するのではなく競合のスコアも測定する必要があります。
  2. マ-ケティング活動やNPS改善のための施策の成果を知るためにも、自社のスコアを定期的に測定し時系列的に推移を把握することが大切です。
  3. どの顧客のNPSを測定するのかを決めることが大切です。もし顧客全体のNPSを測定するのであれば調査対象者の構成は自社の顧客の構成(性別、年齢別等)に合わせる必要があります。また優良顧客層のNPSを測定するのであれば、調査対象者の構成は、優良顧客層(性別、年齢別、会員歴、会員ランク等)の構成に合致させる必要があります。

Q2.NPS調査にはどのような種類がありますか?

  • トップダウン調査とボトムアップ調査
    NPS調査には大別すると、トップダウン調査 (リレーショナル調査) とボトムアップ調査 (トランザクショナル調査) の2つがあります。前者は各事業の業績評価指標とする目的に、後者は現場が自ら学習し成長していくための洞察を生み出す目的に使用します。
トップダウン調査とボトムアップ調査
  • 2種類のトップダウン調査
    トップダウン調査には、簡易版調査と、詳細版調査の2種類の方法があります。
    1. 簡易版調査
      スコアを聴取することを目的に、回答者の負担を減らしバイアスを抑制するために「究極の質問」である以下の2問の質問だけを聴取する調査です。
      Q1.“この企業(この製品/サービス/ブランド)を友人や知人に薦める可能性は、どのくらいありますか?”(スコア)
      Q2.“そのスコアをつけた主な理由は何ですか?”(自由回答)
    2. 詳細版調査
      スコアの聴取に加え、NPSに影響を与えると考えられる項目に対する評価を質問し、スコアに影響を与えると考えられる要因を明らかに課題と改善策を探ります。

例えば、簡易版調査は毎月実施し、詳細版調査は四半期に1度、あるいは半年に1度実施するというように組み合わせて実施する方法が考えられます。

Q3.他人への推奨度の質問は、調査票のどこで質問するのが適切でしょうか?

  • 理想的には、純粋なスコアを測定するためにも、調査票の最初に推奨度の質問することをお奨めします。
  • 現在実施しているCS調査や実態調査の最後に推奨度の質問を追加することが見られますが、推奨度の質問の前に様々な評価をした場合、その評価が推奨度の質問に影響を及ぼすことが考えられます。例えば、現在使用している製品やサービスの不満点や改善点を先に質問した場合、回答者に問題点がよりクリアに認識され、推奨度の質問への回答に影響を与えることになります。こうした影響を避けるためにも、出来れば最初に推奨度を質問することをお奨めします。

Q4.NPSの改善に向けた分析をするにはどのようにしたらいいですか?

  • 質問では、他人への推奨度の評価の理由と、カスタマ-ジャ-ニ-の各フェ-ズごとに用意された決定要因 (ドライビング・ファクタ-) に対する評価を聴取する必要があります。
  • これらの結果をもとに、推奨度への影響度を横軸、評価の高低を縦軸に置き、優先課題を明らかにし改善の方向を探ります。
ドライビング・ファクタ-

Q5.NPSは、10~0の11段階を用いた他人への推奨度の質問の結果をもとに算出します。(11段階評価で10点または9点を回答した人を推奨者、6~0点を回答した人を批判者とし、「NPS=推奨者の割合-批判者の割合」として算出)
この算出方法ですが、日本において、10点、9点を推奨者、6点以下を批判者と扱う基準は厳しすぎないでしょうか? 日本ではスコアの算出の基準を変えるべきではないでしょうか?

  • 前述の通りNPSは競合との比較や時系列での比較を行って初めてスコアとしての意味を持ちます。同じ条件で算出したスコアを競合や時系列で比較しているのであれば全く問題はなく、算出の基準を変える必要はないと考えます。
  • また次の観点からも、算出の基準を変える必要はないと考えます。
    ✓仮に日本人は人に薦めるという行動を実際にとることが少ない国民であるとしても、企業はそのような国民に対しても10点や9点をつけてもらえるような感動を与え自社を薦めてもらえるべく努力をする必要がある
    ✓5点でも何らかの不満を持ち、離反する可能性があり対応を考える必要がある
  • 但し、国別にNPSを比較することに意味はありません。例えば海外では、学校での成績評価が10=A, 9=A-, 8=B, 7=C, 6以下は不満足な成績、といった評価があるのに対して、日本の成績評価は5段階評価が多く、こうした背景から数字に対する基準も異なります。このように異なる基準を持つ国民の評価をもとに算出されたスコア同士を比較することに意味はないと考えます。

Q6.推奨度の理由として「人に薦めたくないから」と回答した人は調査対象から除外すべきではないでしょうか?

  • このような回答が多い場合は、まず質問形式を見直すことをお奨めします。特に高額商品、金融商品、医療など購買に伴うリスクが比較的高い商材において、「人に薦めて何かあっても責任が取れないので、推薦はしない主義」という回答が高まることがあります。この場合は、「同じような悩みを持つ友人に相談された場合に、この企業(この製品/サービス/ブランド)を友人や知人に薦める可能性は、どのくらいありますか?」というように、実際にあり得そうなシチュエーションを想定した質問に変更し対象者が回答しやすいようにします。
  • 上記のように質問を最大限工夫し変更した場合は、「人に薦めたくないから」という回答を除外しないことを推奨します。その理由として以下ことが挙げられます。
    ✓競合と比較する場合も、競合も同じ条件でスコアを算出し比べているので問題はない
    ✓「人に薦めない」という顧客も、良いサ-ビスを受けると「通常薦めないが、本当によいものなので薦める」といった態度変容もありうると考えて、サービス改善する努力が大切である

Q7.NPSを導入し社内に浸透させるには何が必要でしょうか?

  • 現場だけではなく、経営陣がこの仕組みを通じた改善を優先事項とし長期的観点でマネジメント・プロセスに組み込んでいく必要があります。
  • NPSの改善を、会社の目標として社員に共有することが大切です。
  • 自社の顧客の中で、どの顧客のNPSを上げるかを明確にする必要があります。

次回は、「実施するたびにNPSが変動するがどうすべきでしょうか?」、「依頼する調査会社によってスコアは変わりますか?」、「施策として批判者を減らすべきでしょうか? 推奨者を増やすべきでしょうか?」といった質問を取り上げたいと思います。

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