今のリサーチャーに期待すること執筆 : 澤田 裕行

現在、弊社ではリサーチャーが約80名ほど在籍し、その数もどんどん増えて充実してまいりました。私自身も他のリサーチエージェンシーから入社して参りましたが、弊社のリサーチャーも多くは他のリサーチエージェンシーから入社してきております。リサーチャーの経歴を聞いていると、「昔どこそこのエージェンシーにいた」とか、「過去〇〇(クライアント側)でブランド担当をしていた」などという話を聞き、よく「この世界は狭いね」と話をしたりします。

リサーチャーはある意味専門職であり、マーケティングリサーチ、広義ではマーケティング全体を理解し、その中でもいろいろな得意分野を得ていきます。単純に定量・定性軸だけではなく、業界軸(医療系、自動車系、金融系など)、クライアントサービスやアカウントマネージメント、分析系、デジタル系など様々です。

各エージェンシーは、どの方向で勝っていくのか戦略を考えながら、様々なリサーチャーを採用し、勝てるチームを構成していきます。この様は少し大げさかもしれませんがまるでプロ野球やJリーグのチームと同じに見えます。ですので、弊社も「いったいどんなチームにしたいのか・なりたいのか?」、ということを明確に定義し、それを実現していかなければなりません。弊社では、年始に今年のリサーチャーチームの目標を掲げ、それを社内の他部署含む全員と共有して、その目標実現に向け日々努力をしております。
今回の内容は部として掲げた目標に大いに関連しています。

さて、その中から、今回はいくつかの期待をご紹介させていただきます。私は普段から自分のリサーチャーチームには下記の大きくは3つのことを期待してそれを部の目標にも組み込んだつもりです。そちらをご紹介します。

1.優秀なシェフであること(=様々なデータを駆使してインサイトを見つける)

私がこの業界に入ったころは、定量リサーチはまだまだデータを取ることに価値があり、費用の大半は「実査」費が占めていました。どうやって200人、300人の大量データを取るか、また大事にとったデータがいかに代表性高く正確なデータであるかが非常に重要でした。ですので、よいリサーチャーは、サンプリング、誤解や間違いのない調査票作成、データパンチの指示、カラム振り(今の20代のリサーチャーですと、カラム振りはわからないかもしれないですね)など、オペレーションをしっかり身に着けることを求められ、分析は事実を淡々と述べ、それをサマリーとしてまとめることでクライアントに満足いただける場合が多かったと思います。定性調査もグループインタビューやデプスインタビューが広がり、いかにバイアスをかけずに公正に質問を投げかけ、ダイナミズムを生かしてどうやってその人の本音を引き出せるか、また得た定性情報からいかに客観的に(主観的ではなく)分析できるか、それができるのが良いリサーチャーでした。

これらはもちろんマーケティングリサーチの礎の部分で、今でもリサーチャーには必ず求められる要素です。ただ、今では、これらはあくまで「礎」であって、これだけではクライアントを満足させることは難しくなってきています。

現代はインターネットの普及により、大量のデータが安価にとれたり、わざわざリサーチをしなくてもネット上から様々なデータを得ることが出来たり、パネルデータや行動データも得られるようになってきています。クライアントはこれらを駆使して自らの課題を解決することを求めています。定性のリサーチャーであっても、インタビューで得られた定性情報と、例えば普段のウェブの検索情報などを組み合わせて、その人の本質を理解する、といったことが求められています。

ですので、今のリサーチャーは、様々なデータを駆使して、クライアントの課題を解決する、また、それをリサーチの実施前にイメージし、こういうデータを用いてこういう解決法を得る、ということをクライアントに提案する、こうした非常に高度な仕事を期待されています。これはまるで、様々な食材を駆使して素晴らしい一品を作る優秀なシェフのようではないでしょうか。

2.新しいことにチャレンジすること(=好奇心旺盛であること)

先ほどリサーチャーの礎の話をしましたが、これは今でも重要だという話をしました。そのうえで、リサーチャーは新しいことをどんどん吸収し、やってみたことのないものはやってみる・チャレンジしてみる、という姿勢が求められると思います。クライアント側でもこの姿勢はもちろん必要で、新商品やサービスを売るうえで、新しいチャレンジはおのずと必要となります。

世の中では新しいものがどんどん生まれ、またそれにより消えていくものも多々あります。それに触れて生活している一般の生活者を理解するには、そうした新しいものに自分自身も触れ、感じて、その中から生活者がどう感じるのか、それなら何を求めるのか、この先何を求めそうか、などを経験することがとても重要だと思います。

ですので、食わず嫌いが最もよくないと思います。もちろん、それにより痛い目に合うこともあるかもしれませんが、それも含めての経験です。その経験を踏まえて、元のものに戻ってくることがあったとしても、単純に同じことをずっとやっていた人との差が生まれます。特に、リサーチャーは仕事の中で様々なクライアントと一緒に仕事をすることがありますが、時にはこれまで使ったことのない製品やサービスを提供しているクライアントの仕事を担当する機会も少なくありません。そういった場合、私はまずはその製品やサービスを可能な限り使ってみます。そうするとクライアントの視点が理解できるようになる(逆にこれをしないと理解できないのでは、とさえ思いますが)と思います。

私もメーカーで自分の製品やブランドを担当していたときは、仕事中はもちろん、家での時間や電車の通勤時にもその製品やユーザーのことを、売り場のこと、競合のこと、いろいろ考えていました。そこに少しでも近づくためには、やはりまずは自分もその製品を経験してみて、使っている人を見てみて、どう感じるか、ではないかと思います。いずれにせよ、まずは食わず嫌いをなくし一度は食べてみる、そんな姿勢をリサーチャーには期待します。

3.大人のサッカーをすること(=チームで働く)

よくリサーチャーの仕事の仕方は「個人商店」と言われます。昔から一人前のいいリサーチャー = リサーチャーが提案から実査、分析、報告とすべてを一人でこなす、という理解があり、これはこれで一理あると思いますが、逆に品質が属人化することで、当たり外れが大きい、というのがよくある話でした。先ほどリサーチャーチームの構成の仕方はプロ野球やJリーグのチームに似ている、と申し上げましたが、リサーチャーの守備範囲は昔に比べて非常に広範でいくつもの案件を同時に進行したり、いろいろなクライアントの仕事を同時にしたりと、すべてのことを一人で全部やる、というのはなかなか難しくなってきました。また、リサーチャーにもそれぞれ得意不得意が勿論あり、それをお互い補ってチームで勝っていく、というような働き方にならざるを得ません。ですので、一人一人が強みを持ちながら、それをチーム内で発揮して、チームで勝つということが求められると思います。

一人で仕事をして、たまたまその得意分野がズバッとクライアントの課題解決にはまった時は、素晴らしい勝利を得られるのですが、それが常にはまるわけではありません。これは私の中では子供のサッカーに似ていると思っています。私も親としての経験者ですが、よく幼稚園ぐらいの子供がサッカーをすると、どの子供も自分がヒーローになろうとして、ほぼ全員がボールめがけて走り出します。これを周りから見ていると、ボールの周りにほぼ全員の子供が集まり団子の中でけりあっています。そんな中でたまたま特別にサッカーがうまい子がいたりするとその子にボールが来た瞬間にスルスルとドリブルをし、シュートを決める、これが子供のサッカーの印象です。

一方、大人のサッカーはもっと戦略的でまずはチームとしてどのように戦うのかがあります。また、個々人は皆ポジションが決まっていて、チームの中での期待される役割や動きを求められます。時にはメンバーがボールを持ちやすいよう、動いてスペースを作り、そのスペースを味方が使いチャンスを作る、なんていうこともあります。もちろんピンチになれば、ポジションに関係なく守ったり、どうしても決めなければいけないチャンスにはディフェンスであっても攻めたり。こうした動きをして、チームとして点を取りに行き、勝ちに行きます。リサーチャーにおとりになれ、というのはちょっとピンとこないかとは思いますが、要はリサーチャーもチームワークが必要で、それは実査運営だけではなく、提案書を作る際にも報告書を作る際にもチームで勝ちに行く、ということが必要になると思います。昨今は働き方改革の影響もあり、リサーチャーも昔のように(?)夜遅くまで働けない環境ですので、いかに効率よく点を取るか、まさにサッカーと同じであり、効率的な働き方のアイデアもどんどん共有して実践していく必要があります。そんな今までとは違う働き方が求められていると思いますし、それにより、より安定的で高い質をクライアントに提供し続ける必要があると思います。

以上です。なるべくイメージしていただけるよう、例えを多く使ったため、かえってわかりづらくなってしまったかもしれませんが、楽天インサイトとしてどのようなリサーチャーチームを目指しているか、少しでもご理解・ご賛同いただければ幸いです。

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