オンラインインタビューの実際執筆 : 濱田 倫崇

楽天インサイトは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、調査対象者および調査実施者、クライアントの安全確保のため会場調査や座談会、デプスインタビューといった外出を伴う対面での調査は実施中止としています(5月20日現在、5月31日まで)。特に4月7日発出となった「緊急事態宣言」の後にオフラインで定性調査を行った方は皆無ではないでしょうか。

上記に伴い、テレビ会議等のシステムを活用したオンラインインタビューやMROCの相談が増えています。オンラインインタビューはこれまで実施はしていたものの、FGIやデプスインタビューの補完的な位置づけでしたが、一気に定性調査の主役となった印象があります。今回のコラムではオンラインインタビュー実施にあたり気を付けなければいけないことを雑感として記したいと思います。

対象者について

オンラインインタビューでは何らかのテレビ会議のシステムを利用する必要があるため、ある程度ITの知識やインターネット環境が整っている対象者である必要があります。IT機器や通信に詳しくない方に対しては事前に接続確認を行う等で、実査への影響を最小限にすることが可能です。このようにこれまでには発生しなかった手間やリスクがある一方、対象者が全国に広げられるため、今まで対象者の出現率が低くあきらめていた調査や、コストの観点でなかなかできなかった地方在住者を対象とした調査などができるチャンスと言えるでしょう。インターネットリサーチのパネルで全国から調査対象者を募集すると、地域による配信設定ができないため、例えば特定の限定地域在住の対象者を確保するためには配信ボリュームが大きくなりがちなのですが、そこは各社が保有しているサブパネル(https://insight.rakuten.co.jp/member/panel/)の活用も検討して良いと思います。

最近では在宅勤務でテレビ会議を行う方や、プライベートでオンライン飲み会を経験したことがある方も増えていますので、インタビュー対象者がそのような経験のある方だと実査が非常にスムーズになります。ちょうどMROCが広がり始めた当初、コミュニティとはどういうものかを参加者に理解してもらうのに苦労しましたが、SNSが広まるとともに参加者側もコミュニティ内の振る舞いに慣れることによって、調査がスムーズにいくようになったときと似ていると感じています。

事前の接続チェックについて

インタビューに先立って調査対象者に事前の接続チェックを行うと、その分実査スケジュールが通常のインタビューよりも長くなります。一方でそれによるメリットもあります。
例えば接続チェックはインターネット環境のチェックだけでなく、時間にルーズな人かどうか等のパーソナリティのスクリーニングにもなりますので、接続チェックをクリアした対象者は、当日のドタキャン率が低くなります。また一度顔を合わせて話しているので、インタビュー当日も初対面ではない親近感を感じて頂けるようで、ラポールの形成にも役立っています。

多くのテレビ会議システムがPCやスマートフォンのデスクトップ画面の共有ができるため、ユーザビリティ調査の実施も可能です。ただし、デスクトップ画面の共有は単にインタビューに答える以上に難易度の高い操作になるので、事前に時間をかけて丁寧に説明をすることによって当日の実査がスムーズにいくようにします。

調査対象者だけでなく、調査実施側の接続状況のチェックも必要です。少なくとも緊急事態宣言が出ている間は、ほとんどのケースでクライアントやモデレータ、速記者も自宅からの参加を前提としておかねばなりません。可能な限り当日と同じ時間帯(時間帯によってインターネット速度異なるため)での接続チェックを行い、映像や音声がクリアか、問題なく会議に参加できるかの確認が必要になります。

実査当日について

実査当日は調査実施側も全員バラバラの場所にいるため、事前の入念な調整が必要になります。何時ごろから対象者に入室してもらい、クライアントはどのタイミングから視聴を始めるのか。途中でクライアントから質問が出た場合の対応や連絡方法の共有、インタビュー終了後のデブリーフィングの方法等、クライアントも慣れていない場合は一度リハーサルを行うのもお勧めです。

いまテレビ会議にも様々なシステムがありますが、モデレータ以外の視聴者のカメラやマイクがオンになっていることで視聴者側の音声や画像、はたまた調査関係者の個人名やクライアント企業名が調査対象者にわかってしまうことは防がなくてはいけません。それらのことが物理的に起こらないようなシステムを利用するか、オペレーション上で防止する対策が必要です。

また情報管理についてもオフラインと異なる方法が求められます。調査対象者が録画や画面キャプチャをしないように規約を結び当日も監視するのはもちろんのこと、クライアントや関係者側でも録画、画面キャプチャをしないように注意喚起する必要があります。インタビューを視聴する人が増えれば増えるほど、この点があいまいになってしまうので気を付けないといけません。ちなみに現時点ではオフライン調査よりも情報流出のリスクが高いと判断していますので、秘匿性の高いものについて呈示することはお勧めしていません。

インタビュー終了後のラップアップも、通常のテレビ会議のようにモデレータ・リサーチャーとクライアントをつなげることで問題なく行うことができますが、参加者が多い場合は発言者を絞る等の工夫が必要になります。

オンラインインタビューの今後について

オフラインのインタビューに対してオンラインインタビューは対象者が自宅から参加するケースがほとんどなので、非常にリラックスした状態で話してくださることが多いです。また背景の部屋の様子や着ている服装、化粧の様子等から対象者の普段の様子が観察できます。さらに画面越しではありますが対象者の顔が良く見えますので、ちょっとした表情の変化もよくわかります。そしてスマートフォンを活用すれば家の中だけでなく家の外にも移動ができますので(もちろん感染予防対策は実施の上でお願いします)、例えば冷蔵庫の中を映してもらった後に自宅の全景を映してもらったり、車の様子を映しながらインタビューを行ったりということも可能です。直接会ってインタビューするときのインタラクティブ感やリアリティはありませんが、実はメリットの方が多いのではと感じています。

冒頭で、オンラインインタビューは今主流になっているとお伝えしましたが、仮に新型コロナウイルスが収まったとしても、調査手法の1つとして定着すると考えています。対象者が地方在住のケースだけでなく、地方のオフィスや工場に勤務している社員にもインタビューを共有したい時、土日の実施で休日出勤の時間を減らしたい時、エスノグラフィの代替として等活用シーンも様々あります。
そして今後はオンラインのみの調査だけではなく、ハイブリッド方式が増えていくのではと考えています。例えば調査対象者宅に少人数で訪問しその様子をオンラインで多くの人が観察したり、通常のFGIやデプスインタビューもテレビ会議システムを通じて視聴したりと、調査実施側の状況に合わせていろいろ組み合わせた実施方法です。海外在住者向けの調査もオンラインでの実施が増えていくと思いますし、VRと組み合わせて秘匿性が担保された資料提示等新しい手法も生まれていくと思います。

我々も引き続き新しい手法の提供に取り組んでいきたいと考えています。

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