コロナで変わる世界/意識と価値観への原点回帰執筆 : 田中 庸介

新型コロナウィルスによって物事の判断基準や優先順位が変わり、皆さまご自身、または周囲の“価値観(価値観とは広辞苑によると「何に価値を認めるかという考え方。善悪・好悪などの価値を判断するとき、その根幹をなす物事の見方」とあります)が変わった”と感じることがあるのではないでしょうか。人生価値観といったその人の生き方の指針に関わるものが数ヶ月や半年間といった短い期間で大きく変わることはないと思いますが、特に衣食住または遊休知美における消費・生活に関わる意識・価値観(物事の優先順位等)は変わっていると感じております。

コロナが『厄介だな』と思うことのひとつは、その主な潜伏期間は5~6日/最大14日程度(WHOのQ&A,2020年10月現在)で、感染していても多くの方は症状が出ないという点でしょう。無症状病原体保有者と呼ばれる方が世の中にたくさんいるかもしれない、ということは、単純に考えれば、ワクチンが行き届くまではコロナがどこにいてもおかしくない/ワクチンが開発されるまでは終結しないのではないか?とついつい思ってしまいます。一般的な風邪やインフルエンザであれば感染し発症すれば、自身で感知できます(しんどくて辛くて行動抑制せざるを得ない、動けない)。ですがコロナは違います。コロナに感染しない・感染させないために不要不急の外出自粛や3密を避けるといった周囲の基準を自分の行動基準にも取り込み、その規則や規範から外れると罪の意識を感じたり、または、周囲から疑いの目が向けられるのではないか?といった危惧の念を抱くなど、半ば強制的な外発的動機付けによって人の意識や行動の変容が求められました。

価値観が変われば行動も変わり、消費性向や消費選択の対象も変わります。人々は、自身や家族、準拠集団を守ろうと外の世界と距離をとる、言い換えれば、“外の世界を必要としてはならない”というある種の気づきを経て、自分のできる範囲で自給自足を行う、そして自律的になるかもしれません。たとえば、三度の食事を家で賄う、朝の散歩や夕方・夜のランニング、宅内トレーニングやパン・お菓子づくりに挑戦するetc…。これらのことは4月の緊急事態宣言から8月の間で私自身・私の周囲(友人・知人、職場など)でもよく見聞きしたことです。9月には8月の学校の夏休みの短縮や土曜授業の復活、お盆休みの帰省の自粛など、その抑制の反動が9月の連休の外出増といった形で抑え込んでいた消費欲や行動が現れ、コロナ以前の様相を呈しておりましたが、それでもコロナ前よりも自身の考え方や行動の善し悪しといった判断基準と向き合うようになってきているのではないか?そしてそれは個人だけではなく、コロナをきっかけに、より深く自身の存在目的を掘り下げる必要が生じているのではないか?という点では企業も同じだと思っています。

【戦後最大の危機「コロナショック」】(DIAMOND ONLINE 2020.8.14見出しより)などと言われる今、企業存続のために「売上げと利益、どちらが大事か?」と問われれば、それは利益でしょうというのが大方の見方だと思います。しかし、企業が生まれた時はその存在目的が利益よりも先にあったはずです。

その一方で私なぞは『コロナ禍を生きるには利益を追いかけないと生き残れないじゃないか・・・』とも思ってしまいます。『たとえ企業の存在目的を無視してでも、いま大事なのは利益優先なんじゃないか?』『物事を二極化して対立構造で考えるのは愚かな行いだが、綺麗事を並べても生きていけないじゃないか?』などと超低空飛行(低次元)な思いを巡らせていた10月のある日。夕方のテレビニュースで手作りの刺繍がほどこされた、かわいらしい胃ろう(おなかに開けた小さな穴にカテーテルを通し、直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法です)のペグカバー(胃ろうからの逆流をキャッチしペグの喰い込みを和らげます)を販売している企業を拝見したのです。

たったひとつの胃ろう用ペグカバーが、病気や障害のある子どもやご家族、その方々をサポートする両親・家族の方がされている無味乾燥だった着脱等の作業に彩りを添え、「毎日の気分を上げてくれる」、「子どもの毎日に笑顔を」与えてくれる。私が当事者であったとしても持つことが出来ない視点だと思いました。何よりその映像を見て純粋に感動しました。またその企業の代表取締役の方ご自身が障害を持つお子さまの母であり「なんでこれ売ってへんのだろうというところから始まった」とおっしゃっておられました。そして、神戸マルイ(兵庫県神戸市)で初のリアル店舗が期間限定でオープンしたというではありませんか。

【参考】そのECサイト(※1)より;
<さくらんぼペグカバー(アイボリー)>
洋服を開いた瞬間に、いつもの胃ろうからの食事の時間が楽しくなるアイテムです。
「今日はどの柄にする?」
コミュニケーションのひとつとしてもお楽しみいただけます。

ふと『なぜ、コロナ禍の10月にリアル店舗をオープンさせたのだろう?・・・何もこんな時に・・・』と超絶低空飛行な考えがよぎりながらも、支援したいなという気持ちとともにお話しも聞いてみたい、と、実際に神戸マルイに足を運びました。その店舗は3階の下りエスカレーター側の側面にあり(決して良い立地とは言えません・・・)、先に挙げた手作りのペグカバーや、動物キャラのサージカルテープ(医療用テープ)、普通のスプーンやフォークを持つのが難しいお子さまが、どんな角度からでも・どんな握る力でも・手の開き方(手が開かない)であっても使用できるカラトリーなどがあり、当事者のニーズからデザインされたものばかりが販売されていました。代表の方いわく「コロナ禍で病院や施設で面会や付き添いが制限されているいまだからこそ、選ぶ楽しさを通じて子ども・家族の方が前向きになってほしい」という想いから出店したのだとおっしゃっておられました。

『企業(起業)ってこうことなのではないかな?』(存在目的が先で売上げ・利益は後)と、改めて強く思った次第です。

コロナ禍であっても忘れてはいけないこと。それは、何を残して何が残り、何を残さないのか、です。この判断のためには、企業の「ミッション(使命)」は何であったかに立ち返り、「ビジョン(目指す姿)」を含め、環境の変化や事態にあわせ適応していかねばならないと思います。売上げ・利益が好調のときは、自身の存在目的を確認せずとも発展しますが、コロナ禍のような緊急事態において企業の本源的な価値観を問うことは非常に重要なことだと思います。

この原点があるのとないのとでは、また、強く意識するかしないかでは、企業の今後の成長の仕方が異なるでしょうし、企業の持続可能性も違ってくると思います。そして人間が人とのつながりの中で生きているように、企業は社会という人が集まって営む共同生活の場の中で生きています。その人間の意識・価値観が変容している世の中のありようを問う(わからないことやはっきりしないことを人に聞く。また相手の考えを知ろうとしてある事をたずねる)ことができるのはリサーチの魅力のひとつですが、近年では単なる蓄積データの管理(活用)ツールであったDMP(Data Management Platform)の中にその意識データを付与することが企業ニーズとして広く顕在化しています。

例えば、リサーチパネル調査で衣食住遊休知美における消費・生活に関わる意識・価値観を把握する定量調査を行い、ある観測された変数がどのような潜在的な因子から影響を受けているかを質問項目(5件法など)で測定・分析(因子分析)し、その因子得点でクラスタ分析(例えば非階層クラスタ分析のk-means法)を行った場合、その因子のパラメーターを用いてDMP内の会員に所属クラスタを再現することも可能です。前者のリサーチでクラスタの市場規模推計として活用し顧客のストック状況を見つつ、DMP内のクラスタの再現でマーケティング施策・キャンペーンの反響分析を行うといった用途での活用も可能になります。上記のAsking調査の因子得点から距離(ユークリッド距離など)の近さでクラスタ化することができるほか、DMP内にある購買データでは疎データが多いため生起回数を用いるcos類似度で類似性(1-cos類似性)を求め、クラスタ化することが適当です。

このように意識・価値観から顧客をセグメンテーションし、DMP内に格納されている行動データと合わせて、ターゲットセグメントの量と質・解像度(優良顧客の見極め)を高めることにより、企業のマーケティング施策や各種キャンペーンに対して精度の高いPDCAサイクルがアジャイルで可能になります。但し、心に留めておかねばならないことは、自身・企業の存在目的とは何であったか?の原点(使命)であり、常に自身を精査すること(正しいかどうかを確認すること)だと思います。自分の感覚を仕事に落とし込もうとするマーケティング・パーソン(リサーチャーを含む)であれば、なおさらのような気がします。

※1)https://charmingcaremall.com

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