幸せにはたらく、ということ執筆 : 三木 康夫

新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、私たちの生活は大きく変化しつつあります。しかも感染の収束は未だ見通せません。

感染症による私たちの暮らしの変化に伴う、人々の生活満足度について、内閣府が実施した意識調査があります。(「新型コロナウィルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」、実査期間:2020年5月25日~6月5日。対象者・サンプルサイズ:全国15歳以上10128人。インターネット調査)。なお、緊急事態宣言発令は4月7日、解除は5月25日でした。
“生活全体の満足度”は新型コロナ感染症拡大前には10点満点で5.96、感染症の影響下では4.48(-1.48)と大幅ダウンです。)他の指標では、“仕事の満足度”については5.85⇒4.81(-1.04)、“社会とのつながり”6.07⇒4.32(-1.75)、”生活の楽しさ、面白さ”6.33⇒4.38(-1.95)となっています。人々の閉塞感が顕著に窺われる結果です。
質問文は:「“全く満足しない”を0点、“非常に満足している”を10点とすると(1)新型コロナ感染症拡大前、(2)感染症の影響下でそれぞれ何点になると思いますか」でした。時系列調査での比較ではありません。

内閣府の調査では”仕事の満足度“のダウンは他の指標程ではありませんでした。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大を機に、働き方の見直しが加速化しています。リモートワーク、フリーアドレス制、裁量労働制、年功序列制の見直し(成果型、役割責任型)、ジョブ型雇用、副業人材の採用などなど。このような変化の中で従業員は新しい働き方を歓迎する一方、「大きく変わることに対する不安」や「孤立感・疎外感」を強めているのではないでしょうか?エンゲージメントが揺らいできているのではないでしょうか?

11月上旬、日本経済新聞の「やさしい経済学」欄に慶應義塾大学の前野隆司教授の「幸せ中心世界への転換」の連載で、「はたらく人の幸福学プロジェクト」についての記述がありました。従来の従業員満足度調査や従業員エンゲージメント調査が管理者側からの視点であるのに対し、はたらく人の視点からのアプローチです。それを紹介します(出所:パーソル総合研究所・慶應義塾大学前野隆司研究室「はたらく人の幸せに関する調査」)。

この調査研究の目的は:

  • 就業者側と雇用者側それぞれの価値を最大化し、統合を試みる概念として「はたらく人の幸せ」に着目し、計測手法を開発する(筆者注:ここでの幸せとは心理学用語のwell-being=幸福、福利、健康のことになります。Happinessよりは広義です)
  • 組織における効用を明らかにし、「はたらく人の幸せ」を高めるための実践的な打ち手を提示する

調査では、幸せな働き方と不幸せな働き方では条件が異なるのではないか、という仮説を設定し、全国の就業者4634人に調査を実施。そこからはたらく幸せ・不幸せをもたらす普遍的な各7つの因子を同定しています。それが図表にある「はたらく人の幸せ因子」と「はたらく人の不幸せ因子」です。この調査の実査は2020年2月で(発表は8月)です。コロナ感染症拡大前の調査ですが、コロナ前・後で因子の重要度の順序に変化はあるとしても、抽出された因子自体は変わらないと私は考えています。(筆者注:幸せ因子・不幸せ因子は狩野モデルの魅力的品質要素と当たり前品質要素を、あるいはハーツバーグの動機付け・衛生理論を連想します)

幸せ因子
不幸せ因子

調査報告書ではさらに、どのような組織や職場のマネジメントが、はたらく人を幸せ/不幸せにするのか?また、組織は従業員のはたらく幸せ実感を高めるために、どのような取り組みができるのか?などをカバーしています。詳細はこちらを参照下さい

https://rc.persol-group.co.jp/well-being/img/Well-Being_AtWork_ver1.pdf

何が課題(What)かは、「はたらく人の幸せ・不幸せ」でそれぞれ7つ示されました。しかしそれを解決する打ち手(How)はいくつか考えられます。業種、職種、雇用形態などによって最適解を模索する必要があります。コロナ禍をネガティブにとらえることは簡単ですがそれはやめましょう。どうしたら解決できるのか、ポジティブに柔軟に考えましょう。

「幸福学」の知見によると、幸せな人は、創造性が高く、生産性が高く、欠勤率が低く、離職率が低く、健康で長寿だそうです。最後に前野教授のまとめです。“あなた自身が「幸せに働く」と決意することが、幸せで豊かなワーク&ライフにつながります。幸せに働きましょう”。

おまけです。前野教授は幸せの心的要因として、「幸せの4つの因子」を同定しています。日本人1500人に87の質問をした結果です。それは:
第1因子:「自己実現と成長の因子」(やってみよう因子)・・・やりがい、強み、成長
第2因子:「つながりと感謝の因子」(ありがとう因子)・・・つながり、愛情、感謝、利他的
第3因子:「前向きと楽観の因子」(何とかなる」因子)・・・ポジティブ、楽観的、チャレンジ
第4因子:「独立とマイペースの因子」(あなたらしく!」因子)・・・自分の軸を持って我が道を行く
(出所:「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門」 前野隆司著 講談社現代新書)

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