楽天インサイト、誕生。

楽天リサーチと楽天AIPは、
楽天インサイトに変わりました。

楽天インサイト×キーパーソン対談
生活者の意識と行動を捉えるデータインサイトの未来

第3回 楽天インサイトとジャパネットたかたが考える データとの向き合い方とテレビの未来

2018年8月1日、楽天リサーチは「楽天インサイト」として生まれ変わった。これまで培ってきたリサーチのノウハウを活かしながら、様々なデータも活用して企業に生活者インサイトを提供する。リブランディングを機に、楽天インサイトの代表取締役社長田村篤司とジャパネットホールディングスの髙田旭人社長が意見を交わしました。実は幼なじみの関係である、2人の経営者の考える、マーケティングとテレビの未来とは?

「よし、ここからだ」という思い

田村篤司(以下、田村):こういう場で話すのは新鮮ですが、実は私と髙田さんは、ジャパネットたかたの本社がある長崎県佐世保市で小学生だったころからの幼なじみなんです。家がとても近く、創業者であるお父様には、それこそ塾の迎えの車に一緒に乗せてもらったりしていました。社会人になってからは度々仕事の話もしてきましたが、髙田さんは昔からいつも友達に囲まれていて、人を引きつけるキャラクターは変わりませんね。

髙田旭人(以下、髙田):田村さんは幼いころから優秀で。長崎の小学校から、福岡の久留米大学附設中学・高校へ一緒に進学し、寮生活で同じ部屋になったこともありました。そして東京の大学まで同じだったという、私にとっても希有な存在ですね。畑は違えども変化の激しいマーケティング環境の中で「お客様へどのような価値を提供するか」にお互い邁進しているから、私も一度じっくり意見を聞きたいと思っていました。

写真左から、株式会社ジャパネットホールディングス 代表取締役社長 兼 CEO 髙田 旭人/楽天インサイト株式会社 代表取締役社長 田村 篤司

田村:まず、髙田社長はお父様が築かれた基盤を継いでいますが、その基盤をどう捉えているか、聞かせてもらえますか?

髙田:私の場合は、やはり親の背中を小さいころからずっと見てきて、両親のことが大好きだったし従業員さんにも良くしてもらっていたから、いずれ継ぐという考えありきで進路を選択してきました。だから、証券会社を経て、いざ35歳で社長になったときも、準備はできていたというか。よし、ここからだなという思いがありましたね。

楽天グループに一層の多様性を生み出す

田村:お父様には今ももちろん接していると思いますが、アドバイスを受けたりすることは?

髙田:それが、社長を継いでから具体的なことは一度も相談したことがないんです。経営を任せると言ってくれているから、私が聞かない以上は父も口を出さないし、そこは我慢してくれているなと思いますね。創業者というものは、どんな相談内容でも一瞬で「答え」を出してしまいます。もしそれが自分の描いた方向性と違うと、その先を進めづらくなると思うので相談はしていません。「いつでも聞いて」と言ってくれてはいます。田村さんはむしろ、転職時に初めて大いなる創業者(楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏)に向き合う状況になったわけですよね。どんな思いでしたか?

田村:最初に会ったときから、三木谷は自分の信念を貫き通す、芯の強い人だと感じました。事業範囲を小売からトラベル、カード、銀行、通信など幅広く展開し、ときに広く事業を広げすぎではないかと言われたりする中で、「会員ビジネス」として競争力を高めるという三木谷の強い意志で長い時間かけて進んでいます。最近になって世界のインターネット企業でも同様の戦略をとってきていますが、楽天グループは、今後も多様な事業と会員基盤を包含した経済圏として競争力を高めてゆくという信念で経営していきます。そんな楽天グループにおいて、私自身、自分の独自性、価値を出したいと思って参画しました。楽天グループは、どちらかというとtoC(および全国の小売店)が基盤なところ、楽天インサイトは大企業向けのtoBというまったく異なる方向性を模索しているので、グループに一層の多様性を生み出したいという思いでやってきました。そして、そのような当社の事業運営を尊重してもらっていると感じます。

偶然出合い、生活が変わることの価値

髙田:御社は、この時代だからこそ取得できる様々なデータを企業のマーケティングに活用していこうとしていますよね。データを活用する際に必要な観点を、どう考えていますか?

田村:ご指摘の通り、グループ全体で捉えているデータも含めて有効な形で提供しようとしていますし、当然それが生活者への還元になると考えて事業を進めていますが、一方でデータから機械的思考で生み出されるような結論を過信してはならないとも思っているんです。データは決して万能じゃない。

髙田:同感です。予定調和的なデータ活用は、その成果もいずれ縮小します。私たちもお客様への還元の一環として、たとえば購買履歴に基づいた時系列でテレビのアップセルのオファーをする一方、アナログに皆で話し合って「ロボット掃除機を買った人はリビングも広いだろう、大きいテレビにも関心があるのでは?」といったことも探っています。

田村:そういう活動こそ、マーケターの頭によってなされるべきことですね。御社も長年テレビショッピングを展開されていますが、やはり偶然出合って「あ、これいいな」と思って購入し、その生活が変わっていくことの価値は今後も色あせないでしょう。そんな偶然性の大元にあるインサイトの発掘は、マーケティングの重要な要素だと思うんです。

マスコミュニケーションを担うテレビの役割

髙田:そう、テレビというメディアも、何年も衰退傾向と言われるものの、いまだにあれだけマスに届けられる媒体はない。実際、弊社ではラジオでさえ年間一定の売上があるので、マス媒体が“衰退”と言われるのは違和感があるし、逆にチャンスだとも思います。田村さんは、マス媒体としてのテレビをどう捉えていますか?

田村:本質的には、テレビが象徴するターゲットを限定しない“マスコミュニケーション”の意味をよく理解して活用できるかという問題だと思います。この点、現在はデジタルデータによるターゲットを絞った広告配信が可能になっていますが、マスコミュニケーションにも意味があり続けるのではないかと思います。たとえば、人が商品を買うとき、実はそれって「自分が欲しいか」だけでなく「人にどう見られるか」がある程度影響していますよね。そのことは、特にブランド認知やイメージ形成という点において、ターゲットだけに広告配信すればいいということではない、ということを示唆します。そういった意味で、マスへブランディングできるテレビという媒体は、今後も貴重です。
もちろん、本質を見極めないで多額をテレビCMに投資している例も散見されますので、データを用いた効果検証の議論を深めることは大切だと思います。ただ、収集したデータを機械的思考で分析するだけではなく、あえてマスにブランディングしている意味を人間の頭でよく考えることが重要でしょう。御社では、数字をどのように捉えていますか?

髙田:それで言うと、まずデータによる効果測定にはそこまでこだわっていません。数字は数字として捉えながら、その背景の様々な要因を常に考えています。たとえば現状の売上で言うと、弊社はカタログがいちばん高いんです。ただ、それは自分たちで商品を作っていない弊社にとって、事業をさらに拡大するために自社サービスの拡充が肝だと考え、設置やアフターサービスに注力しているからだと思います。カタログは会員の方にしか送っていないので、購買後のサービスが充実すると、そこでの購買が伸びていく。

データを扱う事業者に求められる中立性

田村:なるほど。需要のありそうなサービスはどう探っているのですか?

髙田:自分がお客様だったらこういうサポートが嬉しいよね、という仮説を基にしていますね。ただ、仮説は頭で立てても、データの裏付けは絶対に必要だと思っています。データの扱いに関しては、私たち事業会社と違って御社には極めて高い中立性が求められますよね。それこそ一人ひとりの担当者レベルにまで、その観点が求められると思う。難しいのでは?

田村:確かにその通りで、新会社のロゴを楽天の赤ではなく青にしているのは、顧客に対する責任として、中立性を大切にする意志を表す意味合いもあるんです。施策まで提供する前提でのリサーチは、そこに恣意的な要素が入ってしまう。ただ、かといって完全な事実整理というスタンスだと、その結果だけ出されても企業は次の一手が打てない、そんなジレンマがリサーチ業界にはありました。その点は我々も熟慮したところで、施策ありきにならず、しかし楽天という実際のマーケティングのアクションを日々打っているグループの一員としての知見を活用しながら、企業に示唆をアドバイスできる姿勢を強化していきたいと思います。顧客が我々にどこまで求めるかに耳を傾け、サービスを提供していきます。

マーケティングとは人の幸せを生み出す活動

髙田:今後、どのような考えで経営していきたいか、聞いていいですか?

田村:我々は生活者へのアンケートやインタビューといった従来型リサーチと、楽天ならではのデータの両方を活用して、生活者に関するインサイトを発見することを支援していきます。それは結局、「人が何を求めているのか」、「人がいかに幸せになるか」を考えていく活動だと思います。
マーケティングのデジタル化が進む時代にあっても、生活者が置かれた文化的背景、社会的背景を理解し、生活者を幸せにするアクションに落とし込んでいかなければならないでしょう。そういった本来的なマーケティングに貢献できる、社会的価値を提供できる会社として発展するという信念の下で、サービス提供力を高めていきたいと思います。

髙田:今の話は私もすごく腑に落ちます。心の豊かさが一層求められているから、お客様や社会に提供する価値を見定めて事業を進めたいと思う。厳しい時代なのは確かなので、経営者として難しい選択を迫られることもありますが、だからこそ経営者としてぶれない指針が必要ですね。

株式会社ジャパネットホールディングス
代表取締役社長 兼 CEO
髙田 旭人
2002年に東京大学卒業後、証券会社を経て、2004年にジャパネットたかたへ入社。販売推進統括本部、商品開発推進本部の本部長などを歴任し、2012年にジャパネットたかた取締役副社長兼ジャパネットコミュニケーションズ取締役に就任。2015年1月よりジャパネットホールディングスの代表取締役社長に就任、現在に至る。

お問い合わせ

【調査発注をご検討の方】 調査・お見積りへのお電話でのお問い合わせ 0120-944-907

【アンケート回答者の方】 アンケートモニターに関するFAQを見る・問い合わせをする