『4月~8月の旅行関連サイトの検索経由閲覧率は昨年同期間より減少。東京都居住者の検索経由閲覧率も減少、検索KWに変化も。』
旅行関連サイトの検索経由閲覧・検索行動に関するウェブログ分析
2020年10月29日
楽天インサイト株式会社は、旅行関係ウェブサイトの検索経由閲覧および検索行動の変化に関する自主分析を、当社の「R-ウェブログインサイト(
https://insight.rakuten.co.jp/digital_marketing/weblog.html)」を活用して行いました。
今回の自主分析は、楽天ウェブ検索を利用している楽天会員のうち、2019年4月1日(月)~8月31日(土)もしくは2020年4月1日(水)~8月31日(月)の間にサイト閲覧・検索行為を行った方、1,719,975人を分析対象としています。
分析結果サマリ
『一般生活者の旅行関心度合い、関心内容の新型コロナウイルス影響下における変化(2019年4月~8月→2020年4月~8月)』について、旅行関連サイトの検索経由閲覧状況や、閲覧時の検索キーワードの分析により理解を試みました。以下5つの分析結果を導いています。
- 分析対象とした旅行関連サイト(以下、旅行サイト)の検索経由閲覧状況(以下、閲覧状況)は、昨年同期間に比べ全体的に減少。4月から7月にかけて閲覧状況が増加し減少幅が改善傾向にあったものの、8月は閲覧率が下がり減少幅も再度拡大。
- 旅行サイトの居住地域別閲覧状況では、ウェブログアクティブユーザーに対する『東京都居住者』の閲覧率は2019年及び2020年ともに最も高かったが、昨年からの閲覧率減少幅も全国で最も大きい結果となった。
- 旅行サイトを閲覧する際に同時検索した日本の地名キーワードのなかで、「東京」に含まれる地名検索率は昨年から大きく減少。
- 旅行サイトを閲覧する際に同時検索した日本の地名キーワードを居住地域別に比較、最も検索されたのは昨年も今年も居住地と同地域に分類される地名であり、今年はその傾向がより顕著にみられた。
- 『甲信地域居住者』の「東京」に含まれる地名検索率は昨年比で最も減少、特に7月減少幅が大きい。一方で「甲信」に含まれる地名検索率は最も増加。また隣接地域の「東海」「北陸」に含まれる地名検索率が「東京」の結果を上回った。
なお、当該分析におけるデータ定義や用語定義については下記をご参照ください。
分析定義
【分析対象ユーザーについて】
本ウェブログデータ分析では、ユーザーを以下の三層(①~③)に分割し、それぞれの行動によって定義づけています。
③は②に、②と③は①にそれぞれ内包されるユーザー群となっていますのでご注意ください。
◇分析で用いるユーザー群の定義
【分析対象ウェブサイト及び地名について】
※1旅行サイト
ツアー・交通機関のチケット・宿泊先の予約機能をメインとして構成しているサイトを「旅行サイト」と定義しています。(※主要サイトは網羅しておりますが、大小、国内外、全ての関連旅行サイトを分析対象とはしておりませんのでご留意ください)
※2日本の地名
検索キーワードで出現する日本の地名は、国土交通省規定の基準地・重要地・主要地に準じて各 都道府県に分類し、本レポート最下部に掲載の地域別に合算しています。
出典:「各都道府県において表示される基準地・重要地・主要地一覧表」(国土交通省)
(https://www.mlit.go.jp/road/sign/sign/annai/6-hyou-timei.htm)
分析結果詳細
分析対象とした旅行関連サイト(以下、旅行サイト)の検索経由閲覧状況(以下、閲覧状況)は、昨年の同期間比べ全体的に減少。4月から7月にかけて閲覧状況が増加し減少幅が改善傾向にあったものの、8月は閲覧率が下がり減少幅も再度拡大。
新型コロナウイルス影響下における一般生活者の旅行関心度合い、関心内容の変化を調べるために、2019年4月~8月及び2020年4月~8月、それぞれの期間において【ウェブログアクティブユーザー】数に対する【旅行サイト検索流入ユーザー】数の割合を月別に集計したところ、いずれの月においても【旅行サイト検索流入ユーザー】の比率は昨年より減少の結果となりました。
2020年は、日本政府が緊急事態宣言を発出した4月の閲覧率は15.4%でしたが、その後、緊急事態宣言が解除された5月(17.1%)から、Go Toトラベル事業の第1弾が開始された7月(19.1%)まで継続して閲覧状況が増加傾向を見せていました。しかし、8月にその増加傾向が留まる結果となりました。対して2019年は、4月から7月にかけて閲覧状況は徐々に減少し8月に盛り返しを見せていました。
時勢的に、旅行に関わる生活者行動ついては多種多様な要因、要素を鑑みる必要がありますが、生活者の旅行関心関与状況が昨年とは異なる動きであったことが確認できました。
◇【ウェブログアクティブユーザー】数に対する【旅行サイト検索流入ユーザー】数の割合 (単位:%)
※グラフ内の集計値はすべて小数点以下第2位を四捨五入した値
※楽天ウェブ検索サービス利用者自体の増減による影響を排除するため、【ウェブログアクティブユーザー】数に対する割合で算出
※【旅行サイト検索流入ユーザー】数は、旅行サイトに対するユーザーのより自発的なウェブ上の行動を拾い上げる目的で、ウェブ広告リンク等を経由した閲覧を含めずに、検索行動を経た閲覧に限定して抽出
旅行サイトの居住地域別閲覧状況では、ウェブログアクティブユーザーに対する『東京都居住者』の閲覧率は2019年及び2020年ともに最も高かったが、昨年からの閲覧率減少幅も全国で最も大きい結果となった。
旅行サイトの閲覧状況は居住地域によって特徴があるのではないか?また新型コロナウイルスの影響度合いにも差がでるのではないか?という仮説のもと、【ウェブログアクティブユーザー】数に対する【旅行サイト検索流入ユーザー】の割合を居住地域別に集計を行い2019年と2020年を比較しました。
結果、『東京都居住者』の閲覧率が2019年は30.3%、2020年では24.7%と、両年ともに居住地域別比較ではトップですが、割合は減少していました。逆に、閲覧率が最も低かった地域は両年とも『九州』で、2019年は24.9%、2020年では20.1%とこちらも減少しています。
昨年からの減少幅においては、『東京』の-5.6ポイントが最も大きく、『沖縄』の-2.7ポイントが最も少ない結果となりました。
◇【ウェブログアクティブユーザー】数に対する【旅行サイト検索流入ユーザー】数の居住地域別の割合 (単位:%)
※表の値はすべて小数点以下第2位を四捨五入した値
※昨年からの増減の値で昇順ソート
※2019年、2020年それぞれの値を全体と比較した結果に基づいてセルに色付け。全体との差が、■は+2.0ポイント以上、■は+1.0ポイント以上、■は-2.0ポイント以下、■は-1.0ポイント以下
※昨年からの増減のなかで、●は最もポイントが高い、●は最もポイントが低い
※楽天ウェブ検索サービス利用者自体の増減による影響を排除するため、【ウェブログアクティブユーザー】数に対する割合で算出
※【旅行サイト検索流入ユーザー】数は、旅行サイトに対するユーザーのより自発的なウェブ上の行動を拾い上げる目的で、ウェブ広告リンク等を経由した閲覧を含めずに、検索行動を経た閲覧に限定して抽出
旅行サイトを閲覧する際に同時検索した日本の地名キーワードのなかで、「東京」に含まれる地名検索率は昨年から大きく減少。
“生活者が注目している地域はどこなのか?”“新型コロナウイルスの影響で変化があるのではないか?”という仮説のもと、【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、日本の地名検索人数の割合を地域別に集計し、2019年と2020年を比較しました。
(注)検索キーワードで出現する日本の地名は、国土交通省規定の基準地・重要地・主要地に準じて各都道府県に分類し、本レポート最下部に掲載の地域別に合算しています。従いまして、以下「東京」とは単体キーワード検索結果ではなく、東京都下の地域名の検索結果を含めた合算集計となります。「北海道」「沖縄」も同様です。
2020年では、「関東(東京除く)」(25.6%)、「近畿」(23.4%)、「東京」(17.8%)がトップ3を占めており、2019年の「関東(東京除く)」(28.7%)、「近畿」(27.3%)、「東京」(24.0%)と比較すると、押しなべて地名検索率は減少しているものの順位に変化はない結果となりました。
しかし、増減幅でみると「東京」に含まれる地名検索率は2020年は2019年より-6.2ポイントと最も減少した検索地域となりました。他方、最も地名検索率の減少幅が少なかった地域は「甲信」(-0.2ポイント)、次に「沖縄」(-0.3ポイント)に含まれる地名となりました。
◇【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、日本の地名検索人数の割合 (単位:%)
※表の値はすべて小数点以下第2位を四捨五入した値
※昨年からの増減の値で昇順ソート
※2019年、2020年それぞれで値の大小を比較しセルに色付け。■は最も割合が大きい、■は2番目に割合が大きい、■は最も割合が小さい、■は2番目に割合が小さい
※昨年からの増減のなかで、●は最もポイントが高い、●は最もポイントが低い
※旅行サイトを閲覧する際に用いられている検索キーワードのなかで、"軽井沢 宿泊"や、"東京 観光"のように日本の地名を含んだものを抽出し、地域にまとめて集計
※ひとつの検索キーワード内に2つ以上の日本の地名が含まれている場合は、それぞれをカウント
旅行サイトを閲覧する際に同時検索した日本の地名キーワードを居住地域別に比較し、最も検索されたのは昨年も今年も居住地域と同地域に分類される地名であり、今年はその傾向がより顕著にみられた。
“居住地域別に検索地名キーワードに差があるのではないか?“という仮説のもと、【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、日本の地名検索人数の割合を居住地域別に集計、2019年と2020年を比較しました。
2019年、2020年ともに最もよく検索された地域名は自分の居住地域と同地域に分類される結果となりました。
そこで検索地名が「東京」に含まれるケース(※検索率は「東京」で合算)に注目し、各居住地域で地域別検索率を比較。2019年に「東京」に含まれる地名検索率が2番目に高かったのは『北海道』(14.9%)、『関東(東京除く)』(29.1%)、『沖縄』(17.3%)それぞれの地域居住者でした。2020年では『北海道』、『関東(東京除く)』居住者の「東京」に含まれる地名検索率の順位に変化は見られなかったものの、『沖縄』地域居住者の地名別検索率2位は地理的に最も近傍にある「九州」へと変化していました。
◇居住地域ごとの【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、日本の地名検索人数の割合 (単位:%)
※表の値はすべて小数点以下第2位を四捨五入した値
※同じ居住地域の年ごとに値の大小を比較しセルに色付け。■は最も割合が大きい、■は2番目に割合が大きい、■は最も割合が小さい、■は2番目に割合が小さい
※旅行サイトを閲覧する際に用いられている検索キーワードのなかで、"軽井沢 宿泊"や、"東京 観光"のように日本の地名を含んだものを抽出し、地域名と紐づけて集計
※ひとつの検索キーワード内に2つ以上の日本の地名が含まれている場合は、それぞれをカウント
居住地域別に2019年と2020年の地名検索率の増減順位を見ると、いずれの居住地域においても昨年よりも地名検索率が増加したのは居住地域と同地域に分類される地名となりました。一方、「東京」に含まれる地名検索率は『東京都居住者』以外は押しなべて減少、最下位もしくはワースト2の結果となりました。なかでも『甲信地域居住者』では「東京」に含まれる地名検索率が最も減少(-10.9ポイント)しています。
◇居住地域ごとの【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、日本の地名検索人数の割合(昨年からの増減ポイントランキング) (単位:%)
※表の値はすべて小数点以下第2位を四捨五入した値
※「居住地域ごとの【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、日本の地名検索人数の割合」における2019年の値から2020年の値への増減ポイントで検索地名をランキング化(ポイント降順)
※検索地名が「東京」の結果に、■で色付け
※旅行サイトを閲覧する際に用いられている検索キーワードのなかで、"軽井沢 宿泊"や、"東京 観光"のように日本の地名を含んだものを抽出し、地域名と紐づけて集計
※ひとつの検索キーワード内に2つ以上の日本の地名が含まれている場合は、それぞれをカウント
『甲信地域居住者』の「東京」に含まれる地名検索率は昨年比で最も減少、特に7月減少幅が大きい。一方で「甲信」に含まれる地名検索率は最も増加。また隣接地域の「東海」「北陸」に含まれる地名検索率が「東京」の結果を上回った。
昨年と比べて最も「東京」に含まれる地名検索率が減少した『甲信地域居住者』において、「東京」に含まれる地名検索率減少タイミングを分析しました。
2019年4月~8月および2020年4月~8月、各年各月ごとに『甲信地域居住者』の【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する「東京」に含まれる地名検索人数の割合を集計比較した結果、7月に-9.2ポイントと最も大きく減少していたことが分かりました。
この7月単月において『甲信地域居住者』の地名検索状況を2019年と2020年で比較してみると、2019年、2020年ともに検索率トップは居住地域の「甲信」、しかしその次の順位に変化が見られました。2019年の第2位は「関東(東京除く)」(19.5%)、「東京」(16.4%)は第3位だったのに対して、2020年の第2位は「東海」(13.9%)、第3位が「関東(東京除く)」(12.0%)、「東京」(7.2%)は第6位まで順位がさがっていました。ちなみに「東海」は2019年の第4位 (14.5%)です。
昨年からの増減幅を見ると、ここでも居住地域の「甲信」地名検索率が最も増加(17.8%)していたのに対して、「東京」(-9.2ポイント)、「関東(東京除く)」(-7.5ポイント)は減少幅ワースト1、2を占める結果となりました。また、「北陸」は「甲信」以外では唯一『甲信地域居住者』の地名検索率が増加した地域となりました。
「東京」「関東(東京除く)」「東海」「北陸」の4地域はいずれも「甲信」を取り囲むように存在していますが、今年は都心寄りの「東京」や「関東(東京除く)」よりも、自身が住んでいる「甲信」や、都心を外した近場となる「東海」と「北陸」に分類される地域検索率が上がっており、関心具合が高まった故ではないかと解釈しています(もちろん、他にも様々な要因はあると思いますが。。)
◇各月の居住地域『甲信』の【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、「東京」に含まれる地名検索人数の割合 (単位:%)
※表の値はすべて小数点以下第2位を四捨五入した値
※旅行サイトを閲覧する際に用いられている検索キーワードのなかで、"浅草 観光"のように東京の地名を含んだものを抽出して集計
◇7月の居住地域『甲信』の【旅行サイト地名検索流入ユーザー】数に対する、日本の地名検索人数の割合 (単位:%)
※表の値はすべて小数点以下第2位を四捨五入した値
※2019年、2020年は、それぞれの検索率の値で検索地名をランキング化(割合降順)。昨年からの増減は2019年の値から2020年の値への増減ポイントで検索地名をランキング化(ポイント降順)
※検索地名が「甲信」の結果に、■で色付け
※旅行サイトを閲覧する際に用いられている検索キーワードのなかで、"軽井沢 宿泊"や、"東京 観光"のように日本の地名を含んだものを抽出し、地域名と紐づけて集計
※ひとつの検索キーワード内に2つ以上の日本の地名が含まれている場合は、それぞれをカウント
分析後記
2020年4月から8月までのウェブ行動データを昨年同月期間と比較分析した結果から、様々なメディア報道と同様に、旅行に対する行動、また東京をめぐる動きに昨年とは異なる傾向が見られました。今後も引き続き注目していきたいところです。
新型コロナウイルス拡大は、生活者の様々な動向、意識に影響を与えていますが、この分析結果がその一端を垣間見ることの一助となれば幸いです。
分析概要
集計期間 :2019年4月1日(月)~8月31日(土) / 2020年4月1日(水)~8月31日(月)
集計対象者 :集計対象期間内にサイト閲覧・検索といったウェブ行動を行った楽天ウェブ検索ユーザー(1,719,975人)
調査・分析実施機関 :楽天インサイト株式会社
本分析で行っている地域別集計は、すべて12地域に分けて行っています。分類の仕方は以下の表のとおりです。
◇各地域が内包する都道府県の定義
- 出典元
- このレポートは、楽天インサイトを出典元とし開示すれば自由に引用や転載をすることができます。詳しい引用や転載方法はお問い合わせください。