『電話・オンライン診療は来院したくない患者にとってメリットとなるが、診療の質や運営面には課題も』
電話・オンライン診療に関する定性調査
2020年7月6日
楽天インサイト株式会社は、「電話・オンライン診療に関する定性調査」をオンラインインタビューにて実施しました。今回の調査は、2020年5月18日(月)~19日(火)の2日間、楽天インサイトに登録しているモニター(約220万人)の中から、3名の医師にご協力いただき実施いたしました。
新型コロナウイルス感染症が拡大する状況において、院内感染を含む感染防止のため、臨時特例的に初診患者に対する電話・オンラインによる診療が可能となりました。本調査では、対象者の電話・オンライン診療に対する対応状況、電話・オンライン診療のメリットや懸念点などを聴取しました。また、コロナ禍における医師とMRとのコミュニケーションについても聴取しました。
≪オンラインインタビューの様子≫
調査結果
■対象者のプロフィール
■コロナ禍における診療状況
◇診療患者数
今回の対象者について、通常時(新型コロナウイルス感染症拡大前)の1か月の平均診療患者数は800~900名程度で、現在(新型コロナウイルス感染症拡大状況下)は通常時と比較して患者数が25~40%程度減少しているとの印象を持っていた。主に小児(15歳未満)患者が減少している一方、慢性疾患患者は継続して受診しているとのことであった。
■電話・オンライン診療について
◇電話・オンライン診療の実施経験
今回の対象者では、3名とも電話診療に対応しており、1名は初診患者の電話診療にも対応経験があった。ビデオ通話機能を用いたオンライン診療を行っている対象者はおらず、オンライン診療システムも導入していなかった。
◇電話・オンライン診療の対象患者
今回の対象者は、電話・オンライン診療の対象患者はある程度限定されるとの見解を持っていた。検査や聴診ができないことや、患者本人による病状の申告が正しいかどうかわからないなどの課題があるため、主に再診で、慢性疾患である程度病状が安定している患者、軽症と思われる患者などを電話・オンライン診療の主な対象と考えていた。
◇電話・オンライン診療のメリットと懸念点・課題
電話・オンライン診療は、来院することに抵抗がある患者にとってはメリットとなり得る一方、医師にとっては懸念点や課題もある。具体的には、診療の質に関する課題、運用面での懸念、経営上の難しさなどが挙げられた。
◇電話・オンライン診療の展望
今後の電話・オンライン診療への対応について、対象者は患者のニーズに合わせて対応していくとの考えを持っているが、現状では電話・オンライン診療に関する問い合わせや要望は少なく、患者のニーズが高いとは感じていなかった。
■コロナ禍でのMR(=製薬企業の営業担当者)とのコミュニケーションの在り方
いずれの対象者も、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して、コロナ禍においてはMRの訪問数は大幅に減少しているとのことであった。しかしながら、訪問が制限される状況下においても医師とコミュニケーションをとろうと努力しているMRもおり、オンラインでMRと面談をおこなっている対象者もいた。今回の調査では対象者は積極的なMRからの働きかけを評価しており、対面でのコミュニケーションが難しい状況下であるからこそ、メールや電話でこまめにコンタクトをとる、オンライン面談を活用するなど、医師がMRに対してきめ細かなケアを望む様子が見受けられた。
楽天インサイトでは、メディカルリサーチチームにより、メディカル領域の自主調査を行っています。お問い合わせや関心のあるテーマなどのご相談をお気軽にお寄せください。
【調査概要】
調査エリア : 全国
調査対象者 : 診療所勤務の医師
回収サンプル数 : 3サンプル
調査期間 : 2020年5月18日から5月19日
調査手法 : オンラインインタビュー
インタビュー所要時間 : 1名30分程度
調査実施機関 : 楽天インサイト株式会社
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