インサイトは3つに分類できる
消費者インサイトに関しては、多くの人が様々な説明をしていますが、そのうちいくつかを紹介します。
まず2010年のJMRAのアニュアルカンファレンスの基調講演で、P&Gの桐山社長(当時)は、インサイトとは、「1.データでは見えてこない真実、2.心の奥深くに存在する感情やニーズ、そして3.ビジネスを成長させる可能性を秘めているもの」と説明しています。
また、次のようにインサイトを説明する人もいます。
- 「ターゲットとなる生活者が自分では気がついていなかったり、気づいてはいてもそれを出すことがためらわれる生活者の中にある本当の思い」
- 「ターゲットとなる生活者が”そうそう”と思える心の声」
などです。ちなみに筆者は「気がつかされればニーズに変わるもの」と説明しています。
ではなぜインサイトが重要なのでしょう?
それは、インサイトがターゲットとなる生活者と新製品・サービスのコンセプトやアイデア、またコミュニケーションのアイデアを結びつける「カギ」となるものだからです。ターゲットの生活者が「そうそう・あるある・なるほど」と思う製品・サービスは生活者にとって目新しく、興味・購入を喚起する力が強く、またコミュニケーションは説得力を持って生活者の記憶に残るからです。
インサイトは3つに分類することができます。
- ヒューマン・インサイト
- 時代背景のインサイト
- カテゴリー・インサイト
1.ヒューマン・インサイトとは「すべての人、あるいはある世代、ターゲットの人達が共通して持っている関心、気持ち、感情」です。2.時代背景のインサイトとは「現在の時代背景から消費者が抱く気持ち、感情」です。たとえば、「エコロジー」だったり、東日本大震災後の「絆」です。3.カテゴリー・インサイトは「生活者がその製品カテゴリーに抱いている気持ちや潜在ニーズあるいは特定のブランドに対する知覚でそのブランドを購入する動機になっている深層心理(あるいはその逆の心理)」です。
この組み合わせがうまく機能すれば、パワフルなコミュニケーションが生まれるのです。