消費者の態度を理解する

なぜ態度が重要なのか?

態度とは、ある対象に対する評価、つまり好意、非好意の程度を伴う心理的な傾向です。その対象は商品、人物、特定の行動、ものの見方・考え方といった具体的なものから抽象的な概念まであらゆる物を含みます。マーケティング的にいうと、態度は「消費者がマーケティングの対象(ブランド、企業活動など)に対して持つ、一貫した好意的あるいは非好意的な判断的評価(田中洋、「消費者行動論」、中央経済社、2015年、p79)」ということができます。態度は消費者の様々な心理的反応(あのブランドが好きだ、このブランドの広告に共感できる、このブランドを使ってみてよかった、など)経験の積み重ねにより形成されていきます。態度は消費者において比較的一貫したものであり、いったん態度が形成されるとそれはある程度の期間持続します。

消費者行動において態度が着目されるのは、態度は評価を伴う心理的傾向だけでなく、態度がわかれば消費者の購買行動が予測できると考えられているからです。それゆえ、消費者がブランドや企業に対してどのような態度を持っているか、消費者のブランドや企業に対する態度をいかに形成させるか、あるいは変容させるかについての理解が重要になります。

態度と行動の一貫性に影響を与える要因として、個人的要因社会的要因があります。
個人的要因とは個人の態度の強度です。行動との関係では、態度が強ければ強いほどその態度に対する活性化が高まるので、態度は行動に影響を及ぼしやすくなり、両者の一貫性は高くなります。態度の強度は、1.対象に対してどれだけ好意的(あるいは非好意的)か、2.態度への自分自身の確信度、3.個人的経験の有無(経験しているほうがしていないより強度が強く、行動と結びつきやすい)に影響を受けます。

態度の強度は社会的要因(家族、友人・知人の意見、有名人の推奨、SNSなど)によっても大きな影響を受けます。ある行動をとることで周囲からどのように見られるか、が気になります。

態度の理論:態度はどのように形成されるか

3つの階層モデル:ソロモンは対象の製品が関与度の高いものか・低いものか、あるいは使用の経験を楽しむものか、で学習の仕方が3パターンあるとしています。

態度は、認知的成分感情的成分行動的成分から成ります(態度の3要素モデル)。ここで認知的成分というのは経験や学習によって獲得した知識や知覚のことで、ブランドの属性についての性能などの認知内容のことです。感情的成分とは感情・感覚といった情緒的な要素です。評価的な意味を持つこともあります。行動的成分とはその対象に対して特定の行動(購買)をとりたいという傾向です。

通常、商品は認知的成分⇒感情的成分⇒行動的成分⇒態度形成の順で態度が形成されます(標準的学習階層モデル)

一方関与度の低い商品の場合は、認知的成分⇒行動的成分⇒感情的成分⇒態度形成の順で態度が形成されることが多いのです(低関与階層モデル)

経験を楽しむような商品などでは、感情的成分⇒行動的成分⇒認知的成分⇒態度形成という順で態度が形成されていきます(経験階層モデル=快楽型消費の態度形成)。

購買行動がまだ行われていない段階でも、最初に理性的な認知内容(信念)が形成される、あるいは感情的な反応が形成されることがきっかけになり、購買行動が起こり、最終的な態度が形成される場合があるということです。

態度の理論:態度の構成要素を理解する

態度はどのような要素から成り立っているか、を説明する代表的なモデルとして、多属性態度モデルと精緻化見込みモデルがあります。

多属性態度モデル(Multi-attribute attitude model)

消費者はある製品を評価する場合、その製品のあるひとつの属性だけでなく複数の属性に着目しています。複数の属性に対する評価を統合したものがその製品に対する全体的態度である、というのがフィッシュバインの多属性態度モデルです。

このモデルの特徴は、消費者の「信念」と「評価」という2つの要素が組み込まれていることです。「信念」とはそのブランドがその属性を持っていることを対象者がどの程度信じているか(調査票では属性評価にあたります)、「評価」とは、それが自分にとってどの程度良いことか(調査票では重要度にあたります。ややこしいですが・・・)、のことです。
数式で表現すると次のようになります:

製品に対する全体的態度=Σ(そのブランドの各属性についての信念)×(その属性の評価=重要度)

多属性態度モデル

多属性態度モデルは属性に対する信念(認知)と属性の評価によって、ブランドに対する態度が決まるというモデルなので、ブランドに対する認知構造を変えることによって、ブランドに対する態度を変えることができることを示唆しています。

具体的には:

  1. 属性についての信念(評価)を変化させる・・・消費者が重視している属性の評価を上げる(ブランドAの燃費の信念を上げる)
  2. 属性の評価(重要度)を変化させる・・・消費者の評価基準を変える(デザインを重視するような戦略をとる)
  3. 新しい属性を認知構造に導入する・・・消費者が今後重視しそうな属性を加えて、認知構造を変える(アサヒスーパードライやモーニングショットの例など)

(注)多属性態度モデルでは製品の個々の属性に対する評価が行われることが前提になっていますが、人が態度を決定する際には必ずしも個々の属性に着目しているわけではありません。高関与製品では比較的多くの属性に対する評価が行われますが、低関与製品では情報処理を単純化するためのヒューリスティクスが利用されがちになります。(第17回のコラムの多属性効用理論も参照ください)

精緻化見込みモデル(Elaboration likelihood model)

このモデルは説得的なコミュニケーションに接触した消費者の情報処理の特性と、形成される態度の関係に焦点を当てたものです。消費者は接触した情報を深く検討する可能性(精緻化見込み)があるか否かによって、情報処理のルートを変えることを想定しています。消費者の情報に対する関与度が高い場合は情報処理に関する動機付けが高くなるので中心的ルートを経やすいのですが、低関与の際には動機付けが低く周辺的ルートを経やすくなります。

中心的ルートによって情報が処理される場合、消費者は商品特性や使用してのメリットなどを丁寧に評価し、態度を形成するので、結果としてその態度は強いものになります。一方、周辺的ルートによって形成された態度は、デザインの美しさやタレントの魅力など、商品の本質でない部分の評価によって形成され、その態度は移ろいやすいものになります。
なお、多属性態度モデルは情報処理が可能な中心的ルートの範疇だけで適応できるモデルです。

精緻化見込みモデル

説得:どのように消費者の態度を変えるのか?

説得とは、消費者の態度を変化させるための積極的な試みといえます。消費者が態度を強化する、あるいは態度を変化させる戦略を、ホーキンスは態度の情緒的成分を変える方法、行動的成分を変える方法、認知的成分を変える方法の3つの視点から整理しています。

  1. 情緒的成分の変更
    • 心地よい刺激と対象物(ブランド)を結びつけることにより、好意的な態度が形成できる(古典的条件付け理論といいます。パブロフの犬の実験です)。
      新製品のCMに好感度の高いタレントを起用し、それが繰り返し視聴されるうちに、初めはニュートラルだった新製品への態度も好意的になる。
    • 広告内容や表現が好きになると、そこで広告しているブランドも好きになる。
    • ブランドを使用しなくても、そのブランドの情報や実物に何度も接触していると、ブランドに対する親近感が沸いてくる(単純接触効果)
  1. 行動的成分の変更
    • ブランドを使用した場合、その経験が新しい認知を生み出すこともあるし、認知構造は変わらなくても使用した結果が好ましいと、好意的な態度を持つようになります。サンプリングや試用促進プログラムはこのようなことを期待しています。
  1. 認知的成分の変更
    • 消費者が重視している信念を強化する、属性の評価基準を変える、新しい属性を付加する、があります。この点は、多属性態度モデルの項に既述しています。

以下、解説は省きますが、消費者の態度を変容させる様々な戦略的技法(フット・イン・ザ・ドア・テクニックなど)と消費者行動に影響を及ぼす様々な心理的効果をまとめました。

消費者の態度変容のための戦略的技法

消費者行動に影響を及ぼす様々な心理的な効果(1)

消費者行動に影響を及ぼす様々な心理的な効果(2)

次回は、「ライフスタイル、パーソナリティ」の予定です。

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