従業員満足度調査(ES=Employee Satisfaction Survey)

なぜESなのか・・・サービスプロフィットチェーン

顧客満足(CS)の実現のためには、それに先立って従業員満足(ES)の向上が不可欠であると言われています。 また、CS=推奨意向の向上は、企業の業績向上と継続的成長を支えています(第24回コラムを参照ください)。CSを実現させる当事者は従業員ですから、従業員の満足度が高くなければ顧客に真の満足を与えることはできないということです。経営トップがCSを推進しようとしてもESが伴わなければ、実現は望めないのです。

サービスプロフィットチェーンはハーバードビジネススクールのへスケットらによって示されたサービスにおける売上や利益に関係する従業員満足(ES)、顧客満足(CS)、企業利益の因果関係を示したフレームワークです。ESの向上が顧客サービスの水準を高め、それが顧客満足を高めることにつながり、最終的に企業利益を高めるとしています。そしてその高めた利益でESをさらに向上させることで良い循環の構図が出来上がるというものです。より具体的には(図表1を参照ください)、社内サービス品質(職場環境、労働条件、人事制度など)が向上する⇒ESが向上する⇒従業員の定着率・生産性の向上⇒提供するサービス水準の向上⇒CSの向上⇒顧客ロイヤルティの向上⇒売上増加、利益の獲得に繋がるモデルです。従業員の満足度が低いと離職率も必然的に高まり、サービス品質を高水準に保つことも難しくなります。

なぜ従業員満足(ES)が経営に大事なのか?

ES調査の設計

ES調査とは従業員を対象としたもので、会社の方針、職場、上司、処遇、各種制度などに対する満足度を調査するものです。従業員の会社に対する意識や問題点を把握し制度や組織の改定に繋げることを目的とします。

図表2に典型的なES調査の調査票の構成を示しました。CS調査の調査票とほぼ同様の構成です。即ち従業員は仕事、職場、会社で「従業員体験」(CSのカスタマー・エクスペリエンスと対応します)をし、それごとに評価します。個々の体験における満足度がその上位概念である大項目別の満足度に集約され、総合満足度となるフレームワークを考え、満足度の構造を理解するようにします。

なお、サービス関係のES調査では、業務プロセスのある程度の部分はCS調査のプロセスの評価と表裏一体であることの認識が必要です。

ES調査の分析法に関してもCS調査と同様です。いわゆるCSポートフォリオ分析です。横軸に項目別の総合満足度への寄与度(相関係数や重回帰係数を使います)をとり、縦軸には項目別の評価をとり、プロットします。その上で4象限にわけ、第4象限(総合満足度に対する寄与度は高いが評価の低いもの)にプロットされた項目の改善を優先して検討します。またES調査で特徴的な分析として、上記のような満足度の構造分析と「知覚ギャップ」を分析するものがあります。たとえば管理職と一般職、上司と部下、現場と管理部門の意識のギャップなどを分析します。

従業員満足度(ES)調査・調査票の構成

ES調査で注意すべきこと

ES調査の実施においては対象者の匿名性に配慮することが重要なポイントになります。調査票の記入に際してはもちろん、集計・分析でも個人が特定されることがないように従業員に約束することが必須です。

また調査結果の従業員に対するフィードバックも重要です。ただし部門別、職階別などでどこまで結果を開示するかに関しては慎重に検討する必要があります。

CS調査のミラー質問

ES調査におけるミラー(鏡)質問とはCS調査の調査票と同じ項目について、形式やワーディングを少し変えて、従業員に対し顧客がどの程度満足しているかを質問するものです。ミラー質問から従業員(サービス側)の「感覚」が顧客の評価とどの程度合っているのか?顧客が判断する満足度・推奨意向に寄与する項目(評価構造)が従業員の考えるものとどのように違うのか?がわかれば具体的な改善策につなげていくことができます。従業員ミラー調査においてCS調査での推奨意向の質問は、「会社や会社の製品・サービスを友人・知人にどの程度奨めるか?」になります。

ハーツバーグの2要因理論

ES調査の分析に関して、ハーツバーグの「動機付け・衛生要因理論」(Motivator-Hygiene Theory)を参考にするとわかりやすいと思います(第24回のコラムで紹介していますが再掲します)。ハーツバーグは職務満足に関する要因を「衛生要因」と「動機付け要因」の2つに分けています。衛生要因とはそれが一定の水準に満たないと不満をおぼえるが一定の水準を超えても特別の満足を与えない要因です。衛生要因としては福利厚生、対人関係、報酬の水準、その他の労働条件などがあげられます。動機付け要因はそれが水準に達していなくても大きな不満にはならないが、充足すればするほど満足度を高める要因です。仕事のやりがい、上司の育成支援、仕事を通じた成長などです。ES調査の分析では真の動機付け要因と「当たり前品質」である衛生要因を見極める必要があります。

ハーツバーグ(Herzberg)の2要因理論(動機付け・衛星理論)

次回は「ミステリーショッパー調査」を予定しています。

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