インサイトでひきつける
これまで新製品の開発過程で、開発プロセスのゲートを作り、ゲートごとに評価項目、ワーディング、スケールを決め、ケースを蓄積し、ノームを作る、あるいは調査結果と新製品の成功・失敗経験とのトレーサビリティを確保することの重要性を述べてきました。調査で使う新製品のコンセプトについても、統一されたフォーマットがあることが大事です。
お勧めのコンセプトのフォーマットは、下図のように、
- タイトル・コンセプト名
- 消費者インサイト
- ベネフィット
- RTB(Reason to believe=信じられる理由)
- タグライン(締めの言葉)
の5つのパーツからなるものです。
調査用のコンセプトの要素
(注:多くの場合ベネフィットは情緒的であり、RTBは機能的)
注意いただきたいのは、調査用のコンセプトでは、最初にキャッチフレーズを出さないことです(実際の広告とは違います)。その理由は、調査対象者はキャッチフレーズを見て、コンセプトを理解したつもりになってしまうからです。キャッチフレーズはインサイトやベネフィットから注意をそいでしまいます。キャッチフレーズは最後のタグラインのところに持ってくるべきなのです。
インサイトは、特に新製品が全く新しいカテゴリーの場合、非常に重要です。インサイトがないと消費者は魅力を感じません。たとえば「携帯電話にカメラ機能がつきました」という説明だけでは興味を喚起できません。「それは私に何をしてくれてどんな価値をもたらしてくれるのか」、が想像できないといけません。スティーブ・ジョブズではありませんが、「製品を売るな、夢を売れ」です。 また、インサイトはターゲットを絞ると切れ味も鋭くなりますが、絞りすぎると「私には関係ない」という人も増えてきますので注意が必要です。
ベネフィットとRTB の関係ですが、(日本では)ベネフィットは情緒的であり、RTBは機能的であることが多いようです。
また、コンセプトの長さは発売時に予定している、主な広告媒体で伝えられる量であることも重要です。15秒CMが中心でしたら、その中で伝えられるだけの情報量になりますし、プリント媒体が中心でしたら、コンセプトの情報量も多くなります。広告を打つ予定がなければ、パッケージの表に書かれているだけの情報になります。