パッケージはコミュニケーション
コンセプトが決まれば、次はネーミング、パッケージの開発です。パッケージ(デザイン)の役割は図にあるように多岐に渡りますが、パッケージ開発で一番重要なことは、「パッケージはコミュニケーションである」という理解です。
パッケージにはネーミング、ロゴマーク、スローガン、色などのブランドの基本シンボルの要素が集約されており、消費者との接点も購入時、使用時、廃棄時と、頻度も時間も長いわけですから、パッケージデザインは非常に重要です。
良いパッケージは優秀なSilent messengerなのです。
パッケージ(デザイン)の役割
望ましいパッケージのチェックポイントを整理すると次のとおりです。パッケージテストのテストデザインや調査票では、これらに対する答が出るように設計する必要があります。
- 容易にその銘柄を見分けることができるか?(その銘柄は目立つか、容易に識別されるか?)
- (カテゴリー、ブランドとして)“らしさ”があるか?
- アイデンティティ=他社がまねできない独自性(ブランドエクイティとして強いもの)があるか?
- 製品・銘柄にとって望ましく意図したコミュニケーションが出来ているか?(パッケージ制作者にブリーフィングした要件が備わっているか?)
- 消費者(ターゲット)が実際に製品を使う場合の諸機能を備えているか?
- 消費者(ターゲット)の好意を得ているか?
好意度はチェックポイントの最後に持ってきました。そのわけは、新製品開発の究極の目的は強いブランドを創ることにあるのですから、好感度よりも意図したコンセプトが伝わっているか、のほうが重要であると考えたからです。
パッケージデザインの変更・リニューアル時の調査デザインでは、次のような注意が必要になります。
デザインの意匠・アイコンやフォーマットの一貫性が消費者(特にロイヤルユーザー)を引き留めるカギです。歴史が長く強いブランド(たとえばネスカフェ、ブルガリアヨーグルト、ミツカン味ぽんなど)のパッケージ・リニューアルには、パッケージの意匠に明確な連続性があることが大事です。
実際の調査では、対象者に無暗示でパッケージの絵を描いて頂き、どのような要素が強く記憶に残っているかをチェックし、その構成アイデンティティ(ロゴ、色、形やそれらの組み合わせ)を新パッケージに残すようにします。
パッケージテストの調査デザインでは次のことを強く推奨します。
- モナディック設計(テストパッケージ同士を直接比較しない)。複数テストパッケージがある場合はそれぞれ別セルで。
- 競合条件(実際に売られる売り場)を想定。
消費者が商品を買うとき、パッケージは常に他の商品と一緒に陳列棚に並んでいます。常に競合と比較して評価されているのです。(一方消費の場面では、競合と比較しながら使用することは稀ですので競合と直接比較の調査をすることはまずありません)。
競合条件を加味せずに調査をすると、上品ではあるがインパクトの無いもの(視認性の低いもの)が選ばれがちです。